【18】メンヘラの出現 ページ18
「…A、いつ帰るの?」
『あと20分くらいかなー、今日お母さん、出張だからさ。
麻乃、…私の妹である。
部活が終わって、光太郎に宿題の手伝いをお願いされ、
光太郎の家で終わらせたところだった。
前述の通り、私は家に帰って晩御飯を作らなければならない。
…なのだが、終わって週刊ジャンプ(自分で購入)を
光太郎の部屋で読んでいれば、
バックハグされたまま離してくれないのだ。
ちなみに私は毎週購入必須のジャンプ大好き野郎である。
「…やだ」
『やだって…、光太郎だって晩御飯あるでしょ?』
「でも嫌」
『……光太郎』
一向に離す気配がない光太郎。
身を捩った私は、光太郎の正面に座り込んだ。
俯いて拗ねたように目を合わせてくれない光太郎。
光太郎、と名前を読んで、さっきまで私を抱き締めていた手を取った。
手を握られ、握り返しながら喋る。
『今度さ、私の家にご飯食べに来てよ』
「…いつ?」
『光太郎が全部宿題終わったら。
なに食べたい?』
「…Aが作ってくれるなら何でも良い」
『ん、分かった。
…ほら、今日は離してくれないと、宿題終わっても誘わないぞ?』
「…うん、…ねぇA、Aは俺の事好き?」
本当に油断ならない。
最近はいきなりよくわからない言動が飛び出す。
少しでも返事を間違えると、泣き出すか拗ねるかの2択だ。
セットが若干崩れかけている光太郎の頭を撫でて口を開いた。
『大丈夫、光太郎が大好きだよ』
光太郎がこっちを向いて、小さく笑う。
…本当にどうしたんだろうか。
頭から手を離せばムッとして、もっと、と強請られる。
帰るギリギリの時間まで頭を撫でながら、なんでだろう、と思った。
この様子がおかしいのは、私と二人きりのときのみだ。
…私が不安にさせてるのかな、そう思って、
帰り際のハグを強めに返した。
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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時