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【16】初動 ページ16

………なんというか木兎の高い背って便利だ。



ショーの人混みをかき分けて、人気が無いシンデレラ城の前に出てそう思った。



背の高さってそういう使い方もあるのね。



木兎と共に、少し高めのシンデレラ城前からみれば、ちょうどショーが良いところになっていた。





『うわぁ、綺麗…』



「Aさ、これ見たかったんだろ?」



『え?』






…そんなこと言ったか?と思って、いや、記憶にない、と考え直す。



なんで気付いたのだろうか。



キョットーンとして木兎を見上げれば、満面の笑みを向けられた。






「なんとなく」






なんとなくって。



顔がどんどん熱くなるのが分かった。



絶対今顔赤い、どうしよう。






「ねぇA」



『なに、?』



「どう?俺」



『…え?』



「彼氏としてあり?」





そうだった、忘れてた。



好きなのはもう十分に分かった、私は木兎が好きだ。



私は無言で頷いた。






「えっ」



『ずっと前から大好きだよ』



「…嘘」



『なんか、後出しじゃんけん感強いね、ごめん。



1年の夏くらいからずっと好きだったよ』





木兎の顔がサァァっと赤くなった。



赤面木兎とか貴重過ぎて写真撮りたい。



珍しく歯切れ悪く、木兎が口を開いた。






「…えーと、その、俺で良ければ、付き合ってください」



『こちらこそお願いします、』






目があって、なんとなく逸らす気になれなくて、



そのまま木兎の綺麗な目を見続ける。



瞬間視界を奪われた。



温かい、と思って焦る。



恐らく抱き締められてる。



いや、離して、は違うな、と思って、抱き締め返した。






「…顔見られたくない、ちょっとだけこのままにして」





少し笑った私は、木兎の背中を擦った。



…まぁショーは生憎見過ごしてしまったのだが。



木兎の腕から解放されれば、ごめん!!と謝られた。






『んーん、大丈夫。



いつかデートでもっかい再チャレンジしよ』



「だな!!」





相変わらず輝かしい木兎の笑顔を見て、幸せを感じた。

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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時

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