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【15】初動 ページ15

……結果、心臓がバクバクのままアトラクションを終えたと思えば、その後は特になにもなく。



結局日が暮れてきたね、と会話するまで、進展はなしだった。



つまり、進展は日が暮れてからあった、ということだ。



5個目くらいのアトラクションを終えれば、ショーがすでに始まっていた。



うわー見たい、でも多分、皆は見るタイプじゃない。



…次の楽しみに取っておくか。



そう思って、後ろを振り返れば、猿杙が口を開いた。






「お土産屋行こうぜ、もう7時とかだろ」






そうだよねー…、と一縷の望みを砕かれた私は、どこのお店にするの?と猿杙の手元のマップを覗き込んだ。



すると、なぁ、と声を掛けられた。





『ん?私?』



「おう、Aはショー見たい?」



『…あー、ううん、大丈夫』



「んー、どうしても見るの嫌?」



『ううん、基本的に見るのは好きだよ』



「じゃあ木兎に付き合ってやって」



『どういうこと?』



「あいつショー見たいんだって。Aついて行ってくんね?



俺らショー興味無い、寝る」



『寝るって…笑、あれ?木兎どこ?』



「トイレだってさ。マジで昼間、Aに大声で言ったときは焦ったわ」



『カップルの視線痛かったー』






そんな事を言って猿杙と苦笑する。



…でも木兎、一番ショーとか見なさそうだけどな。



そんなことを思っていれば、京治が小さく、あ、木兎さん、と呟いたのが聞こえた。






「おっ、何だよー、結局お前らお土産屋かよー」



「ショーはAと行ってこいよ、俺らやだよ、寝るもん」



「どーやって寝んだよ、…はっ、まさかお前、立って寝れるタイプか!!」



「そういうことじゃねー」






呆れたように笑った猿杙が、ほらA、と促してきた。





『…ね、木兎、私とショー見るのは嫌?』



「お、マジ?!A来てくれんの!!」



「っつーわけで、Aは木兎とショーの罰ゲームね、はい」



「おい木葉、罰ゲームってなんだ罰ゲームって!!」





ケラケラと笑いつつ、横を見れば、苦笑する京治と目が合った。



姉さん大変だな、と言われて、苦笑いをする。



めちゃくちゃ嬉しいが本音である。



これどのタイミングで行けばいいんだろう、とか思っていれば、腕を掴まれた。






「行こうぜA」






顔を覗き込んでくる木兎と目があって、ぶんぶんと縦に首を振る。



そのまま腕を引かれて、人混みの中に紛れていった。

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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時

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