【14】初動 ページ14
『え?なに?』
「いやー、ようやっと解決だなーって」
『な、なにが?』
「いやさ、木兎も多分そんなつもりはないんだろうけどさ、
…ふふ、私とかおりがドリンク渡しに行くとさ、
若干残念そうな顔するのよ」
『木兎が?』
「そうそう。Aには敵わないよなーってこないだ話してたくらい。
なんか行動の端々にA大好きって滲み出てる感じが若干うざい」
『うざいって……笑』
「まぁー付き合ったらそれも無くなるのかなー。
今日もう木兎になんか言われたの?」
『…えっと、モーニングコールされて、』
「モーニングコール?あの木兎が!?」
『え?うん…、』
「木兎朝苦手なのに、恋愛って凄いねぇ…」
『…そう言われれば確かに、木兎朝苦手だったね』
「で、で?」
『で!?…えーと、Aの好きな人になりたい?って』
「告白じゃない、そんなの」
雪っペが乾いた笑い声を立てた。
確かに今思い返せば、好きですと言われた気もする。
……改めて夢の国で感覚がバグってるのが分かった。
雪っペにお礼を告げると、頑張って!と謎の応援を頂いた。
電話を終え、木兎たちの元に戻れば、大分大声で呼ばれた。
「A!!トイレ長くね!?」
デカいんよ……、デカいんよ声が……。
そのボリュームで言う内容じゃないぞ木兎。
カップル及び家族連れがほぼ全員振り向く中を、私は戻らなければいけないらしい。
京治が木兎の口を封じている間にこっそりと戻った。
『ごめん、電話してた』
「誰に?」
『雪っペ』
誰に、と聞き返してきた木葉にそのまま伝えれば、明らかに焦ったのが顔に出た。
そんなに焦らなくても。
木葉の視線から逃れるように、真横のベンチに座った。
びっくりするほど列が動かない。
すると、京治と喋りながら木兎が隣に座った。
そのまま頭を倒されて、私の肩に乗せられる。
ギョッとしたのだが誰もなにも反応しなくて一人で勝手に気まずくなった。
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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時