君のことが好きすぎる！ (ページ23)

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一世一代の大勝負2 ページ23

「え、A?!」
と頭上から彼の混乱した声が聞こえた。

そのすぐ後で「有志！」
とあの人の少し怒ったような声が続いた。

その声にビクッと肩が揺れる。
もう追いついてきたのか。

どうやら割と本気で怒っている、
というのが声のトーンで理解できた。

このままでは、何の罪もない有志くんが
私のせいで怒られてしまう。

そう判断した私は肺にいっぱいいっぱい
有志くんの匂いを補充して
有志くんから手を離して
彼と向かい合った。

彼と目が合った瞬間、私の口から
今まで言えなかった気持ちが
ボロボロと溢れ出した。

「有志くんは１つも悪くない。
私が勝手について来たんです。
私は…誰よりも近くで有志くんを支えたい。
苦しい時も嬉しい時も
どんな時も有志くんの傍にいたいんです。
だから…だから…」

なんだかわからないけど視界がぼやけてきた。

自分のまっすぐな気持ちが届いているのかな。

迷惑って思われてるのかな。

もしかしたら怒って追い返されるかもしれない。

グルグルと不安がよぎるけれど
もう引き返せないところまで来てしまった。

だから私はここで、
一世一代の大勝負に出た。

彼にバッと頭を下げて

「だから…私に全日本男子バレーの
お手伝いをさせてください!!!」

言ってしまった、もう後戻りできない。

どうしよう、怖くて不安で行き場のない感情が
涙となって溢れてきた。

誰も何も言わない静寂がしばらく続いた。

私にはそれがひどく長く長く感じられた。

怖くて顔を上げることすらできない。