合宿前夜2 ページ17
それから私たち2人は、他愛もない話をして歩いてたのだが。
あっという間に私のマンションの前に着いてしまった。
有志くんといる時間はいつだって楽しくて
私を幸せな気持ちにさせてくれる。
その分なんだか一瞬に感じられて
それが…なんてゆーか…
ものすごくもどかしい。
終わって欲しくない時間ほど
あっという間に終わってしまう。
「有志くん!送ってくれてありがとう!」
幸せな気持ちに包まれたまま
私は笑顔で彼に感謝を伝えた。
いつもはこの流れで「また明日ね」と
手を振って別れるのだが
今日はなかなか彼が握った私の手を
離そうとしない。
「有志くん…?」
彼の名前を呼ぶのとほぼ同時。
力強く手を引かれて、私の体は彼の腕に
すっぽりと収まっていた。
突然のことで頭が置いてけぼり。
彼のがっしりと鍛えられた硬い体を感じて
心臓がバクンバクンと激しく脈打つ。
彼にこの心臓の高鳴りが聞こえてそうで
なんだか恥ずかしい。
でも、彼のぬくもりをもっとずっと
感じていたくて、私はその腕から
抜け出せずにいた。
「明日は……明日からは会えん」
ふと、頭上から降ってきた
悲しそうな寂しそうな声に
心が締め付けられるみたいだった。
私はその発言の意図を理解しようと
頭をフル回転させる。
…と、思い当たる節は1つ。
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作者名:天然水。 | 作成日時:2019年10月22日 23時