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あぁ、これが天使なのですね⸺

目の前に現れた異形のものに恐ろしくなるけれど、私が直接戦うわけではない。

戦うのはロノさんで、私はただ“悪魔の力”を解放するだけ。

それでも、怖いものは怖い。

恐怖に震える身体は、きっとロノさんにも伝わっている。

だからといって、ここから逃げ出すわけにもいかない。

心配そうに私を見つめるロノさんに、『問題ないです』と小さく頷いた。


『ロノさん、下ろしていただけますか。私は先ほど教えていただいたとおりに“悪魔の力”を解放したらよろしいんですよね?』

「えぇ、ありがとうございます! オレがちゃちゃっと天使を倒してくるんで、主様はここに隠れていてください!」

『分かりました。お邪魔にならないように隠れています』

「主様に傷一つ付けることは許しませんので、怖いかもしれませんが安心してください!」


天使から見つからないように、茂みの陰に下ろされる。

私を不安にさせないようにか堂々と構えているロノさんに頷き、私はベリアンさんから渡された本を開いた。

教えられたとおりに記号をなぞり、呪文を唱える。


『来たれ。闇の盟友よ。我は汝を召喚する。ここに悪魔との契約により、ロノの力を解放せよ』


本は光ったけれど、ロノさんの姿は何も変わりない。

もしかして、失敗しましたか……? と不安になれば、ロノさんは満面の笑みで答えた。


「ありがとうございます、主様! これで力が解放されました!」

『そうなんですね……。実感はありませんが、よろしくお願いいたします』

「えぇ、すぐに天使を倒してきますよ!」


そう言って、両手で剣を持ち、天使へと駆けていくロノさん。

あっという間に天使を倒し、私のもとへ戻ってきた。


『お疲れ様でした、ロノさん。あっけなく倒しておりましたが、悪魔の力とやらを解放しなくても良かったのではないですか……?』

「何言ってんですか、主様! 主様が力を解放してくれたおかげで簡単に倒せたんすよ!」

『そんなに変わるのですか……?』


私の疑問に、ロノさんは神妙な顔で頷いた。


「残念ですが、悪魔の力を解放していないオレじゃあ一人で天使は倒せません」

『そんなに……』

「まぁそんなことより、主様も慣れないことで疲れましたよね? はやく部屋に戻り⸺」


⸺ドスンッ!


何かが落ちた音が、ロノさんの言葉を遮った。

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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます!のんびり更新ですがよろしくお願いします…! (5月3日 22時) (レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠莉 | 作成日時:2024年3月14日 22時

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