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ベリアンさんに指名をされたロノさんは、驚きの表情を浮かべながら自分で自分の顔を指差していた。
「オレ！？ ベリアンさんじゃなくていいんですか？」
「ロノくんも主様に確認したいことがあるでしょうし……。もしもロノくんだけで天使を倒すことができなければ、私たち他の執事もお呼びください」
「主様がいらっしゃったので問題ないかと思いますが」なんて続けたベリアンさんに、「それもそうですね」とロノさんが返した。
ロノさんは私に手を差し出す。
「それじゃあ行こうぜ！ 主様！」
「ロノくん……主様への言葉遣いは⸺」
「そうだった……い、行きましょう、主様」
『えぇ、よろしくお願いいたします、ロノさん』
そう言って、私はロノさんの手のひらに手を重ねると、「それでは失礼します！」と言われて、ロノさんに横抱きで抱きかかえられてしまった。俗に言う“お姫様抱っこ”というやつである。
突然のことに驚き、声も出ない。
目を丸くする私に、ロノさんは明るく笑う。
「こっちのほうが早いですよ！ 少しだけ我慢してください」
『は、はい……！』
「……ロノくん」
ベリアンさんは小さくため息を吐くと右手で頭を抱えて、首を横に振った。
呆れてしまったのか、言葉が出てこないらしい。
「落ちると危ないので、オレの首にでも手をかけてくださいね！」
『わ、分かりました……！』
「主様……嫌なときははっきりとお断りくださいね」
恥ずかしさを隠してロノさんの首に手をかけてしがみつけば、ベリアンさんが困ったように笑う。
私は小さく首を横に振って答えた。
『いいえ、決して嫌ではないのですが……運んでいただけるのであれば、ありがたいですし……』
「主様がよろしいのであれば良いのですが……」
そうして、私とロノさんは天使狩りへと向かうのだった。
***
ロノが主様を連れ、部屋に残された二人は真面目な顔をして、ふぅと一息ついた。
「ずいぶんと優しく気を遣い、限界が近そうな主様だったね」
「えぇ、あちらの世界でどれほどの苦労をされてきたのでしょうか」
「本当はあちらの世界に戻っていただきたくはないけれど……こればかりは無理強いできないからね」
「そうですね、せめて天使と戦わなければいけないとき以外は安らかに過ごしていただきましょう」
それから、ベリアンたちはベッドを整え始める。
天使狩りから戻られた主様がすぐに休めますように⸺と。
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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます！のんびり更新ですがよろしくお願いします…！ (5月3日 22時) (
レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2024年3月14日 22時
