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彼はガラガラと音を立てながら、料理をたくさん乗せた配膳ワゴンを押して入ってきた。
ニコニコと幸せそうな彼に、これから告げなければいけない言葉を考えると大変心苦しくなる。
私、そんなにたくさん食べられません……。
ベリアンさんが困ったように眉尻を下げながら、彼に声をかけた。
「ロノくん、主様に対する言葉遣いや態度には気をつけてくださいね？」
「おおっと、そうだった……。はじめまして、主様。オレはロノって言います！ 調理担当の執事です！ お夜食をお持ちいたしました」
『よろしくお願いいたします、ロノさん。お夜食を準備していただけた、そのお気持ちは大変嬉しいのですが……』
チラリとワゴンになにが乗っているか確認をする。
野菜がたくさん入った具沢山のスープに煮込みうどん、温かそうなホットミルクにヨーグルト。
他にも名前は分からないけれど、おそらく、きっと、多分、私は食が細いであろうと察したロノさんが、私でも食べられそうだと思ったものが乗っている。
ホットミルクくらいなら大丈夫かもしれませんが、久しぶりに飲んでお腹を壊さないでしょうか……。
『ルカス先生、私……どれなら食べても大丈夫そうですか？』
「主様、無理に召し上がる必要はないんですよ」
『せっかく準備していただけたので……無理に食べるわけではないですよ？ ただ、急におうどんとか野菜の入ったスープとかの固形物を食べると、身体がびっくりしてしまうんじゃないかと自分でも思っていて……』
「えっ！ 主様、うどんもスープも食えないんすか！？」
「ロノくん……」
『ごめんなさい、ロノさん……近頃はまともな食生活を送ってきていなくて、ゼリーとか柔らかいものが多かったので……』
ですが、飲み物はすでに頂いていますし、残る選択肢は一つだけでしょう。
『ヨーグルトを頂きますね？』
えへへと笑いながらワゴンからヨーグルトを取ろうとすると、慌ててロノさんが渡してくれた。
「温かいんで気をつけてください！」
『ありがとうございます、ロノさん。ホットヨーグルトなんて初めてです』
執事三人に見守られながら食べるのは、少しだけ気まずい。
だけど、
『美味しいですね、ありがとうございます』
仕事をしながら流し込む食事とも言えない食事に比べたら、十分に美味しかった。
『私が食べられないものはよろしければ皆さんが⸺』
どうぞ、と続けようとした私の言葉に、ウーウーと低く、不安になるサイレンの音が重なった。
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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます！のんびり更新ですがよろしくお願いします…！ (5月3日 22時) (
レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2024年3月14日 22時
