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『私、の屋敷……ですか。それに、悪魔の屋敷……』
悪魔が住んでいるように見えるほど、外観がボロボロにでもなっているのだろうか。
やっぱりこれは夢を見ているのだろうけれど、しゃべる猫に悪魔の屋敷だなんてファンタジーにも程がある。
それ以上言葉を続けられなかった私に、ベリアンさんはクスリと笑った。
「“悪魔の屋敷”だなんて不気味な名前、主様にも失礼ですよね」
『えぇ、まぁ、はい……』
「さて、主様。突然ですが、正面にあります絵をご覧いただけますか？」
ベリアンさんの言葉どおりに正面の壁に目を向けると、どこか暗い印象を受ける絵が飾られていた。
泣きながら祈る男性の姿が描かれている。
しかも、男性の背中からは黒い翼が生えており、どうやら人間ではなく、おそらく悪魔のようだ。
しかし、不思議な印象も受ける。
悪魔といえば、人間に甘い言葉をささやき、悪へと地獄へと引きずり込み、魂を奪う生き物だと思っていた。
それが泣きながら、救いを求めるかのように祈りを捧げるなんて、悪魔らしくない。
この悪魔は、何に祈っているのだろうか。そもそも、悪魔で正しいのだろうか。
ぼんやりと目の前の絵画について思考する私に、あっさりとベリアンさんは男性の正体を告げた。
「ここに描かれている男は悪魔でございます」
『話の流れから言えば、そう……でしょうね。ですが、悪魔の絵を飾っているから“悪魔の屋敷”と呼ばれている……わけではない、ですよね？』
「えぇ、ご明察恐れ入ります」
ベリアンさんは、またふんわりと優しく微笑み、頷いた。
けれども、ほんの一瞬だけ、言葉に迷うかのように視線を揺らして表情を曇らせたことを、私は見逃さなかった。
「主様を怖がらせたくはないのですが、実は⸺」
「失礼するよ、ベリアン。主様のご様子は……おや、目覚めたようだね」
「これはこれは、ルカスさん。はい、つい先ほど」
ノックとともに部屋の扉は開き、長髪のこれまた美しい男性が部屋に入ってきた。
彼は私の目の前までやってきて、うやうやしく深々と頭を下げる。
「どうも初めまして、主様。私は屋敷の医療係を担当しておりますルカスと申します」
『……よ、よろしくお願いいたします、ルカス先生？』
「先生だなんて。私に敬称は不要ですよ、主様」
『えっと……』
もしかして、誰かとやり取りをするたびにこのやり取りは必要になるのかとベリアンさんに助けを求める視線を投げれば、
「他の執事たちにも、主様はお話しやすいようにお話しされているので気にしないように、とお伝えしますね」
と、ひとまず安心する答えが返ってきた。
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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます！のんびり更新ですがよろしくお願いします…！ (5月3日 22時) (
レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2024年3月14日 22時
