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私の言葉にあいまいに微笑むナックさんを見て、話題を変えようと肩越しにちらりと扉のほうに視線を向けた。
『……それにしてもフルーレさん遅いですね。大丈夫でしょうか？』
「主様のおっしゃるとおり、時間がかかりすぎですね。様子を確認して参ります」
『ゆっくりお待ちしていますね』
一礼をして、ナックさんは部屋を出ていった。
ようやく一人になり、天井を見上げる。
これからどうしていこうか、グルグルと頭の中で考えが巡った。
執事の皆さんは、急に現れた主様⸺私に対して、すごく優しい。
悪魔の力を解放してもらうため、なんて思いもあるのかもしれないが、邪険に扱わないし、むしろ丁寧に接してくださっている。
特に大したこともしていない私に対して。
そんな彼らが、この世界を天使から守るために私に力を貸してほしいというのであれば、快く力を貸したい。
それでも、現実的に考えれば、こちらの世界と元の世界の生活を両立することはかなり厳しいだろう。
誰から見ても、今の私の姿は思わず手を差し伸べたくなるほど頼りない、みすぼらしい姿であるらしい。
ロノさんなんて、私を一人歩かせることが不安だったのか、手を取るだけではなくお姫様抱っこなんてしましたし。
そんな姿になってしまった元の世界での生活を続けながら、こちらの世界にも手を貸せるほど、私には時間も体力もない。
『転職……しないといけませんね』
ボソッとこぼした言葉にも、現実味がない。
どこに新しい仕事を探す時間があるのか、これからもっと忙しくなるであろうに。
はぁ、と思わずついたため息に、気分も暗くなる。
力が抜けて、ソファにぐでんと横になり、静かに目をつむった。
だらしのないことだけど、せめて誰かが来るまでは許してほしい。
それからしばらくして、堂々巡りを始めた思考を中断させるかのように部屋の扉がノックされた。
ゆっくりとソファから起き上がりながら『どうぞ』と私は答える。
両手からあふれるほどのたくさんの服を抱えたナックさんとフルーレさんが部屋に入ってきて、私は目を丸くした。
『まさか、そちらはすべて私の服……でしょうか？』
嘘であってほしい、否定してほしい、と願いながら問うも、フルーレさんは目をキラキラと輝かせて頷いた。
「少しお直しする必要はあるかもしれませんが、すべて主様のお召し物です！ これからもっと素敵なお洋服もお作りいたしますので、お好きなデザインなど教えてくださいね！」
『わ、分かりました……』
特に服にこだわりのない私には、フルーレさんの熱が少し怖かった。
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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます！のんびり更新ですがよろしくお願いします…！ (5月3日 22時) (
レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2024年3月14日 22時
