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「⸺⸺さま。起きてください、主様」
『……うぅん』
誰かが私を呼んでいるような気がする。
起きなければいけないけれど、ふかふかのふとんに包まれて、日々の疲れのせいか目を開けられない。
ベッドで眠ると起きられないことは分かっているから、いつもは玄関で横になっているというのに、どうして私はベッドに……？
そもそも、私を呼んでいるのは誰でしょうか？
どうにも何かがおかしいと疑問を思い浮かべながら、ようやく意識を浮上させる。
うっすらと目を開くと、私のベッドの脇には宝石のような瞳を持った美しい男性が穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
この方が、今まで私に声をかけていたようだ。
初めて見る、全く知らない人だ。
恐る恐ると起き上がり、周りを見渡すも、電気はなく、ろうそくの明かりだけではよく見えない。
けれども、見覚えのない部屋であることはたしかだ。
「無理に起こしてしまい、申し訳ございません。主様をお待ちしておりました」
『……あなたは、誰……ですか？ ここは……？ “主様”とは、私のことでしょうか……？』
「申し遅れました、主様。私の名前はベリアン。主様にお仕えする執事でございます」
『ベリアンさんは、執事……ですか、私の？』
「えぇ、主様。それに私には敬語も敬称も必要ございません。どうぞ“ベリアン”とお呼びください」
『そう、なんですね……。ですが、申し訳ないのですが、昔から敬語で話していまして……そうではない話し方のほうがかえって難しくて……。すみません、善処しますね……』
「左様でございましたか。それでしたら、主様のお話ししやすいようにお話しくださって構いません」
ふんわりと私に微笑むベリアンさん。
急に見知らぬ他人を“主様”と呼ぶ人間を、私は信用できるのだろうか。
内心、疑心暗鬼な私の手をベリアンさんは取り、こちらへどうぞ、と一人掛けのソファに案内される。
「もう夜も遅いですので、カモミールにバレリアンをブレンドいたしましたハーブティーはいかがですか？」
落ち着きますよ、なんて続いたベリアンさんの言葉に、私は頷いた。
多分、さすがにここで毒や危険物を入れてくるような人ではない。
素直に頂くことにしよう。
『ありがとうございます、ベリアンさん。いただきます』
数分待ち、出されたハーブティーに口を付ける。
初めて飲んだハーブティーは癖のある味だったけれど、たしかにどこか落ち着いてくるような感じがした。
ホッと一息をついた頃、ようやくここがどこだか説明される。
「主様、ここは“デビルズパレス”、“悪魔の屋敷”と呼ばれており、主様の屋敷でございます」
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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます！のんびり更新ですがよろしくお願いします…！ (5月3日 22時) (
レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2024年3月14日 22時
