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すかさず、ロノさんのツッコミが入る。
「いや、やったことないんかい!」
「ねぇ、ベリアン。猫ちゃんが執事って面白くない? この不思議な猫ちゃん、執事として雇ってみない?」
それまで静かに様子を見ていたルカス先生がウキウキとした様子で、未だ困った様子のベリアンさんに声をかけた。
「主様も猫さんを飼いたいようですしね……。執事としてであれば、可能かもしれません。いかがいたしましょうか、主様?」
『そうですね……。黒猫ちゃんさえ良ければ、執事として働いていただきましょう』
「ありがとうございます! 僕、一生懸命働きます!」
『これからよろしくお願いいたします、黒猫ちゃん』
私の膝の上で、黒猫ちゃんはペコリと頭を下げる。
コホン、とベリアンさんが軽く咳払いをし、私たち⸺特に黒猫ちゃんの意識を向けさせた。
「猫さん、それでは今このときを持って、その御方があなたの主様です」
「はいっ! 分かりました!」
「……猫さん、あなたが抱っこをしていただいてる御方が、あなたの主様なのですよ」
「……そうですね?」
『黒猫ちゃん、きっとベリアンさんは私の膝から降りてくださいってお伝えしたいんですよ』
「なるほど!」
いそいそと私の膝から降り、ベッドの上で伸びをする黒猫ちゃん。
まごうことなき猫である。可愛らしい。
『このままベッドの上にいますと、ベッドからも降りましょうって言われちゃいますよ』
「えぇ。これからはちゃんと執事らしい礼儀作法を覚えてもらいますからね」
「了解しました!」
黒猫ちゃんはようやくベッドからも降りる。
トコトコとお行儀よくベリアンさんの隣に座った。
ベリアンさんはふんわりと私に優しく微笑みかける。
「さて主様、本日はこんなに遅い時間までお付き合いいただき、ありがとうございました」
『私は特になにも……』
「いいえ、主様のおかげで無事に天使を倒すことができました。怖い思いもさせてしまったでしょうに、本当にありがとうございます」
『そんな……ロノさんがあっという間に天使を倒してくださって、実際は怖いなんて思う暇もありませんでしたよ』
ほんの少しだけ嘘を混ぜてベリアンさんに答えた。
ベリアンさんの後ろでロノさんが目を丸くしていたけれど、ただそれだけだ。
わざわざ否定はしないらしい。ありがたいことである。
「そうでしたか、それは良かったです♪ ところで、明日も主様はお仕事ですか?」
『えぇ……できれば7時頃に起こしていただければと思います』
「承知いたしました、主様」
ルカス先生がそうおっしゃると、三人と一匹はおやすみの挨拶をして部屋を出ていった。
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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます!のんびり更新ですがよろしくお願いします…! (5月3日 22時) (レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠莉 | 作成日時:2024年3月14日 22時