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この世界のことはまだなにも分からない。
それでも、もしかしたら私をこの世界に導いた黒猫ちゃんの仲間かもしれないと思うと、この黒猫ちゃんは悪魔執事の味方だと信じても良い気がする。
その話をベリアンさんに話しただけでは、黒猫ちゃんの処分を決めるには不公平だろう。
他の二人と黒猫ちゃんに話してみれば、二人の渋い顔はそのままだったけれどすぐに処分しようという話にはならなそうだった。
当の本猫は「別の世界から来たなんて、不思議なこともあるものですね！」なんてのんきに笑っていたけれど。
しゃべる猫ちゃんも十分不思議だと思う。
『さて、皆さん。この黒猫ちゃんはどういたしますか……？ 私は、できればこの屋敷で飼っていただければ……と勝手ながら思うのですが……』
「そうですね……。この屋敷で動物を飼うのは難しいですが……主様のご希望にはお応えしたいので、なにか良い方法がないか考えてみますね」
困ったように笑うベリアンさんに、自分が無理を言っていることに気がつく。
私が責任を持って面倒を見ることができるのならもっと強く主張できたかもしれないけれど、ずっとこちらの世界で過ごすわけではない。
きっとメインで生活をするのは、仕事もある元の世界だ。
『いいえっ！ やっぱりなしにしますっ！ 自分でお世話ができないのなら飼うべきではありませんものねっ！ 黒猫ちゃん……ごめんなさい』
「あっ、あの！ それでしたら、僕をここで執事として雇ってください！」
「はぁ？ 突然何を言い出してるんだ、この猫！」
「ひぃっ！」
黒猫ちゃんはロノさんの怖い顔をした真ん前まで持ち上げられ、恐怖のためか悲鳴をあげた。
プルプルと震えている黒猫ちゃんの姿は哀れみを誘う。
『ロノさん、いつまでも掴みあげられている黒猫ちゃんも可哀想ですので、そろそろおろしてあげてくださいね』
「オレが放すと逃げるかもしれませんよ？」
『そのときはそのとき、で良いですよ。黒猫ちゃん、こちらにどうぞ』
「いや、主様のベッドには乗せられませんって！」
私の隣をポンポンと叩けば、ロノさんに断られる。
それでも、黒猫ちゃんは私のほうにプルプルと手を伸ばしていたので、ロノさんの手から救い出して膝の上で抱きかかえた。
『……黒猫ちゃんは私の執事になりたいのですか？』
「は、はいっ！ ここを追い出されても行く場所なんてありませんし……。掃除に洗濯、お料理にお裁縫まで！ ……やったことはないですけど、がんばります！」
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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます！のんびり更新ですがよろしくお願いします…！ (5月3日 22時) (
レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2024年3月14日 22時
