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目が覚めると、私の近くにはベリアンさんがいた。
ゆっくりと起き上がろうとすると、ベリアンさんが身体を支えてくれる。
「お目覚めになられて良かった！ 痛むところはありませんか？」
『……今のところは大丈夫です。私が倒れてから、どれくらい時間が経ちましたか？』
「それは良かったです！ ロノくんが意識を失った主様を運んできてくださってから、ほんの数分ですよ」
『……その、ロノさんはどこですか？ 運んでいただいたお礼をまだお伝えしていなくて』
キョロキョロと部屋の中にロノさんがいないか見渡してみたけれど、ロノさんの気配はない。
気まずそうに私から視線をそらすベリアンさんはいるけれど。
もしかして、私が倒れてしまったせいでロノさんは怒られているのでしょうか？
『⸺っ！ ロノさんは何も悪いことはしていません……！』
「それは私たちも知っていますよ、主様。……ロノくんはルカスさんと一緒に猫さんのお話を聞きにいきました」
『しゃべる黒猫、でしたよね……？ こちらの世界でもしゃべる猫は普通……ではないんですよね？』
「えぇ、私たちも初めて見ました」
『あの、実は⸺』
そうして、私はしゃべる黒猫に導かれてこの世界にやってきたことを伝える。
もしかしたら空から降ってきた、この世界にもいないしゃべる黒猫だなんて、まっさきに思いつくのは“敵”である天使の差し金かもしれないということ。
聡明そうなルカス先生もそう考えて、ベリアンさんを私のもとに残してロノさんと一緒に話を聞きにいったのかもしれない。
まさかルカス先生も黒豚だと思ってどんな料理にして食べようか、なんて相談するとは考えられないし。
『私はあの黒猫ちゃんが味方であるとは言い切れませんが、敵とも思えないんです』
「主様のお話を伺う限りは私もあの猫さんを信じたいとは思うのですが……怪しいところも多いですし、主様に近づけても良いのか判断が難しいですね」
『私も、ルカス先生たちと一緒に話を聞かせてください』
「……主様も初めての天使狩りでお疲れでしょうし、本日はお休みになられてはいかがでしょうか？」
どうやらベリアンさんは私と黒猫ちゃんを会わせたくないらしい。
危険なにゃんこではないと分かれば、会わせてくれるのかもしれないけれど。
無理にベッドから降りようとすれば、ベリアンさんに止められる。
『私はあの猫ちゃんが処分される姿は見たくないです』
「私もお見せしたくはないですね」
結論は平行線。
黒猫ちゃんの無事を確かめるには、ベリアンさんを強行突破するしかないらしい。
それはどう考えても虚弱な私には難しかった。
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悠莉(プロフ) - 雪女さん» 雪女さん、コメントありがとうございます！のんびり更新ですがよろしくお願いします…！ (5月3日 22時) (
レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます🙂 (5月3日 9時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2024年3月14日 22時
