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｢……は、｣
一瞬、言葉の意味が理解できなくて呼吸を忘れる。
そして、何回か瞬きをして、少しずつ意味を理解した。
(なんで。いつから。どうやって。)
頭は回ってるはずなのに、浮かぶ疑問はひとつも声にならなくて。
放たれる空気は冷え切っているのに、僕の顔を覗き込む目は不自然なくらい温かい。
｢いやぁ、河村が俺の血を飲んでくれたらいいなぁって。ずっと準備してたんだよね。｣
｢だって、河村の中に俺の血が流れるんだよ？｣
｢そんなの、めっちゃ興奮するに決まってるじゃん｣
未だかつて、こいつがこんなに興奮した姿を見たことがあっただろうか。
……あぁ、やっぱり、これを諦めるなんて土台無理な話だったんだ。
その指の冷たさを感じた時には、逃げ場なんてなくて。
蛇に睨まれた蛙みたいに気圧されて、動けない。
｢言ってよ。もう、俺の血しか要らないって。｣
───俺しか要らないって、言って。
感情を感じない声とそう言う福良の表情は今まで、たったの一度も見たことない表情で。
さっき潤したはずの喉は既にカラカラに乾ききっている。
(…あぁ、これはまずいな。)
今まで過ごした年月の中で、ある程度理解していたと思っていたけれど、どうやら僕はまだまだ彼を甘く見ていたみたいだ。
頬に触れる手を取って、僕の体の熱を移してやるように手を握る。
どこまでがこいつの手のひらの上かは知らないが、ここまで来たら最後まで踊ってやる。
｢…いいよ。誓ってあげる。｣
(だから、お前も精々覚悟しときなよ。)
心の中で少し笑ってから、再び歯を立てる。
今度は強く、思い切り。僕なりの仕返しだ。
｢っ……！｣
頭上から小さい呻き声が漏れる。
でも、目に入った表情は幸せそうな顔をしてるものだから、
(あぁ、もうとっくに手遅れじゃん)
僕なんかに好かれて、僕を好きになるなんて、かわいそうな奴。
だって僕ら、もうひとりじゃ生きていけないんだから。
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あ - 一気読みさせて頂きました！貴方様のizkoとymkoが大好きです！特にkoちゃんがテレパシーを使えるようになってしまう話や、王様ゲームの話がものすごい刺さって、何度も読み返させていただきました！それ以外のお話も大変好みで、キュンキュンさせていただきました！ (2023年1月26日 0時) (
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作者名：みたらし | 作成日時：2022年7月8日 0時
