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どうやら僕は普通ではないらしい。
それを自覚したのはいつだったか。もう記憶に無い。
ひとつだけ覚えているのは、ヒトの血液を摂取しなければ死んでしまう体質と知った日のことだけ。僕は所謂"吸血鬼"というやつなのだ。
奇怪な体質という自覚はあるが、血液パックが通販で簡単に手に入ることから察するに、この世に一定数同じ境遇の人間は存在しているようで、僕は今までこの体質を苦に思ったことは無かった。
1日1袋の血液パックを飲み干す。
それさえ怠らなければ、僕はあくまで"普通"に生活出来るのだから。
誰しも墓場まで持っていきたい秘密、というものは抱えているだろう。
僕にとってのそれが、まずはこの体質。
……そして、もうひとつ。正直、こっちの方が厄介だ。
｢あ、河村。今から昼休憩行くんだけど、良かったら一緒に行かない？｣
｢……あ。あぁ、いや。さっき行ってきたからいいかな。｣
｢そっかぁ。じゃあ休憩行ってきます。｣
コンビニの袋を抱えて出ていく背中を見送って、ぬるくなったコーヒーを口に含んだ。
……完全に油断していた。いつの間に後ろに立ってたんだ。
急に話しかけられたせいでまともな返事もできなかっただなんて、僕はいつからこんなに純情な人間になったのだろうか。
有り体に言うと、僕は福良が好きだ。
それが、もうひとつの僕の秘密。
けれど、僕はこのままの関係で十分に満足している。
きっと今の僕と福良なら、結婚式の招待状くらいは貰えるだろう。
それでいいじゃないか。
それ以上は望まないし、望んじゃいけない。
その日が来るまで、僕は福良が一刻も早く誰かと結ばれることを祈るだけ。
鋭いあいつのことだ。これ以上近付けば、僕の正体に勘づいてしまう。
あいつには、普通の幸せを掴んで欲しい。
それを願うくらいなら、きっと地獄の閻魔も許してくれるだろう。
僕はこの恋を自覚したその瞬間、
それを黙殺することを決めたのだ。
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あ - 一気読みさせて頂きました！貴方様のizkoとymkoが大好きです！特にkoちゃんがテレパシーを使えるようになってしまう話や、王様ゲームの話がものすごい刺さって、何度も読み返させていただきました！それ以外のお話も大変好みで、キュンキュンさせていただきました！ (2023年1月26日 0時) (
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作者名：みたらし | 作成日時：2022年7月8日 0時
