孤独のループ／P−P ページ1
彼女はいつも一人だった
友達もいなくて
彼氏もいない。
そんな独りな君が大好きだった。
君が独りでいる時の孤独な
表情が。目が。動きが、
全て大好きだった。
毎日そう思ってすごしていた。
「あの…」
誰とも会話をしない彼女が僕に話しかけてきた。
「あ、えっと…なに？」
誰とも話さない彼女に話しかけられたことで僕の中に多少の優越感が生まれた。
「…資料、どうぞ」
「え、ありがと」
「それでは…さようなら」
よく分からないやり取りだったが、彼女に友達ができない原因もわかり僕はご機嫌だった。
それから彼女とは次第によく話すようになり。彼女からの告白で付き合うようになった。
はじめは僕も好きなこと付き合えた事に喜びを感じていたが…。
日に日にこう思えてしまう。
僕の好きな彼女じゃない。
僕が好きなのは孤独の彼女だ。
今の君は僕の隣で満足気に笑っている。
まるで独りから卒業したように。
「ねぇ、A」
「ん？なぁに？」
いつの間にか慣れた猫なで声も
いまは鬱陶しく思える。
「僕とずっと一緒にいてくれる？」
「もちろんっ‼︎」
「ぴーちゃん大好きだもん‼︎」
「そっか」
そうなら仕方がない。
「A」
「なぁにっ？」
「別れよう」
「え…？いや、どうしてっ‼︎」
「もう好きじゃない。」
そうだ。僕は誰とも馴れ合わない
君が好きなのだ。
大好きなど、ミジンコほどにも嬉しくない。
「ぴーちゃんが別れるなら
私死ぬから‼︎」
「…」
脅しだろうが、ベランダから飛び降りようとしている彼女を止める気にはならない。
きっと前の彼女が飛び降りようと
していたら、止めていただろうか。
「死んでやるっ‼︎…あっ」
「…」
…足を滑らせて落ちたから
殺したのは僕にはならない。
アレは仕方ない。新しい孤独を探しに行こう。
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作者名：夜桜 | 作成日時：2017年5月30日 8時
