トド松×パン屋 ページ35
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「クロワッサン売り切れだって」
「ここの人気だもん、仕方ないよね」
OLお姉さん達の会話が聞こえたと同時にオーブンのブザーが鳴る。
「お待たせいたしました、クロワッサン焼きたて…」
「焼きたてクロワッサンどーぞー!」
私が持っていこうとしたカゴを後ろから奪われ、ニコニコとお姉さん達の所へ持っていく彼。
「焼きたてだって!」
「タイミング良かった〜」
「お姉さん達いつもお昼買いに来てくれるので、時間合わせたんです」
「えっ」
「何でそこまで…」
「可愛いその笑顔が見たいからですよ」
にっこり笑う彼の笑顔に頬をぽっと染めたお姉さん達は上機嫌でパンを買ってくれて、「トド松君!明日も来るからね〜」と手を振って店を後にした。
「…ねぇ」
「ん?」
「ん?じゃなくて!何で嘘つくの?!明日からこの時間に焼かなくちゃいけないじゃん!」
「いいじゃん、常連になってくれるんだから」
「そもそも、あなた私の彼氏ですよね?」
「そうだけど?」
「何で可愛いお客さん来たらすぐ行っちゃうのかなぁ…」
私の文句にも「えへへ…つい」と笑顔で返す彼はずるい。
「もう…」と怒りながら他のパンを陳列していたら後ろから「…あの」と男性に声をかけられた。
「子供にパンを買っていこうと思うんですけど、名前が難しくてどれがどんな味なのか…教えてもらえますか?」
「全然いいですよ!私も一緒に選びましょうか」
「助かります。パン屋なんて一人で入ったことなくて気恥ずかしくて…」
「そんな緊張しなくていいですよ。あ、これはウィンナーが入っててお子様に人気で…」
そうして男性の隣に並んで一緒にパンを選んでいたら、急に肩をぐいっと掴まれた。
「トド松君…?」
「お客様、僕が一緒に選びます」
「え?」
「Aちゃん袋詰めしてきて。裏で」
「いや…私」
「早く」
睨むような目付きで男性を見る彼に、お客様も苦笑いで頷いて私はレジ裏へ追いやられた。
しばらくして戻ってきた彼に「…さっきの何」と睨まれる。
「何って…一緒にパン選んであげてたんだよ」
「Aちゃんじゃなくてよくない?」
「別に誰でもいいでしょ」
「…よくない」
ぽすっと私にもたれた彼は両手をまわして優しく抱き締める。
「Aちゃんが他の男と話してるの見たくない」
「…私だって」
「…ごめん」
「僕が好きなのはAちゃんだけだから」と呟く声に、「知ってる」と返事をした。
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rabi - 普段の生活にお差し支えないようできれば…お気持ち私、すごく分かります〜〜!大変お手数ではありますが掲載時の体裁につきまして、又私のお題箱にご連絡頂けますと幸いです。 素敵な作品を描かせて頂ける事、本当に幸せ思います。ありがとうございます! (2017年11月30日 21時) (レス) id: b77ea76641 (このIDを非表示/違反報告)
rabi - 原作を頂きましたMさんのお名前と、原作を漫画にさせて頂いた旨だけを文字で掲載する、もしくはサイトURLも掲載許可頂けるのであればそちらも載せさせて頂ければと存じます。 (2017年11月30日 21時) (レス) id: b77ea76641 (このIDを非表示/違反報告)
rabi - また、改めて頂きましたメッセージ、とてもとても光栄で…是非ワンシーンを描かせて頂けましたら光栄です! お伺いしたかった件なのですが、ツイッターにあげる際にMさんの原作をどのようにお伝えしようかという点です。 (2017年11月30日 21時) (レス) id: b77ea76641 (このIDを非表示/違反報告)
rabi - Mさん、ご返信ありがとうございました!私こそ感想欄をお借りしてしまって申し訳ありません。 Mさんの作品、拝読させて頂きました。おそ松海の家がすごく好きです!スパダリ兄さん…!長兄おばけ屋敷も大好きです。 (2017年11月30日 21時) (レス) id: b77ea76641 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 続き書いてほしいです! (2017年11月8日 22時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M | 作成日時:2016年10月31日 5時