◆一松×先生 ページ26
@独蛇さんリク
「……ここがこうなって、こう。…分かった?」
「はい!」
放課後の化学準備室。
私が一松先生と、唯一2人っきりになれる時間。
実験用の部品や教材が溢れる狭い部屋で、並んで椅子に座る。
いつもは遠い教壇に立つ一松先生が、息づかいが聞こえるほどすぐ隣にいて
ちらりと先生の顔を覗き見しては私の心臓が騒がしく動く。
(先生の顔が…すぐそこに……)
ドキドキしてにやける口元を慌てて制服の袖で隠す。
バレてないかな…?とそっと先生を見上げれば「…話聞いてんのか」とペンでコツンと頭を叩かれた。
「……ていうかさ…」
「はい」
「…お前、本当に化学苦手なの」
「えっ」
先生はギィッと椅子にもたれると、腕組みをして私を見つめる。
「成績は学年でトップクラス、授業態度も優秀」
「で、でも私、化学は苦手で…」
「その割に毎回テストは90点台なのに?」
「そ、れは…」
しどろもどろになる私に一松先生はぐいっと身を乗り出すと、両膝に肘をついて私を見上げるように見つめた。
「…お前、俺のことどう思ってんの」
「えっ」
まさかそんな事聞かれるなんて思ってなくて、必死に冷静を保とうとするけれど胸の音は大きくなるばかり。
「好きです」って今言ったほうがいいのかな…
スカートを握る手には汗が滲んで、どうしていいか分からず困って先生を見つめれば、はぁ…とため息をつかれた。
「お前、恋愛に関しては赤点だな」
「え…?」
「…せっかく、チャンスやったのに」
「あ、あの…」
訳の分からないことを呟く先生に困惑すれば
「僕、生徒にはそういう気持ちないから」と静かに告げられた。
…先生は、分かってたんだ。私の気持ちに。
一気に身体中の熱が冷めて、胸の音も鳴りやんだ。
「そう、ですよね…」
「…」
「明日から、もう来ませんから…ありがとうございました」
涙が零れる前に急いで立ち去ろうと、雑に教科書とノートを集めて立ち上がれば、ぐいっと腕を掴まれた。
「……お前は本当に恋愛偏差値ゼロだな」
「…え」
「…好きでもない子に、僕が毎日放課後に時間作ると思う?」
そう言うと一松先生はにやりと微笑んで
「卒業して、まだ恋愛について分からなかったら教えてやるよ」と私にノートを手渡した。
「…明日は」
「あした…?」
「来ないの?」
「…!」
「来ます!」と食いぎみに言えば「…待ってる、A」と私の頭をぽんと撫でた。
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rabi - 普段の生活にお差し支えないようできれば…お気持ち私、すごく分かります〜〜!大変お手数ではありますが掲載時の体裁につきまして、又私のお題箱にご連絡頂けますと幸いです。 素敵な作品を描かせて頂ける事、本当に幸せ思います。ありがとうございます! (2017年11月30日 21時) (レス) id: b77ea76641 (このIDを非表示/違反報告)
rabi - 原作を頂きましたMさんのお名前と、原作を漫画にさせて頂いた旨だけを文字で掲載する、もしくはサイトURLも掲載許可頂けるのであればそちらも載せさせて頂ければと存じます。 (2017年11月30日 21時) (レス) id: b77ea76641 (このIDを非表示/違反報告)
rabi - また、改めて頂きましたメッセージ、とてもとても光栄で…是非ワンシーンを描かせて頂けましたら光栄です! お伺いしたかった件なのですが、ツイッターにあげる際にMさんの原作をどのようにお伝えしようかという点です。 (2017年11月30日 21時) (レス) id: b77ea76641 (このIDを非表示/違反報告)
rabi - Mさん、ご返信ありがとうございました!私こそ感想欄をお借りしてしまって申し訳ありません。 Mさんの作品、拝読させて頂きました。おそ松海の家がすごく好きです!スパダリ兄さん…!長兄おばけ屋敷も大好きです。 (2017年11月30日 21時) (レス) id: b77ea76641 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 続き書いてほしいです! (2017年11月8日 22時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M | 作成日時:2016年10月31日 5時