51.自覚する人 ページ5
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こうなることは考えてた。
こうなっても仕方がない。
仕方がないことだって分かってる。
それなのに、私の頭はどれも今更な、"タラレバ"を繰り返す。
高校生の時、私のことはどこまで噂になっていたのか聞いていたら、
食事の時、実は父の会社だと話していれば、
お見合いの話を出されたと相談していれば、
ミアンさんのお願いを勇気を持って断っていれば、
秘密でお見合いに行かされたと報告していれば、
もっと、何か違っていたんじゃないだろうか。
JH「初めまして、ジョンハンです。お願いします」
JH「だから見たことあると思ったんだ〜〜」
JH「…髪、まとめなくて平気ですか？」
JH「見られてると緊張します(笑)」
JH「はい、俺のカトク」
JH「あー(笑)ありがとうございます(笑)でも、Aさんの方が綺麗ですよ」
JH「じゃあ、Aヌナ？ ふは、照れてる(笑)」
JH「Aさんと別れるなんて、俺だったら考えないよ」
JH「好きなものをわざわざ嫌いになる必要はないし、嫌いじゃないものを全部好きってまとめる必要もないと思う」
JH「傘ならあります。へへへ、Aさんと会う口実が欲しかっただけです」
いたずらっ子みたいなことするし、
真面目で、意外に照れ屋で、
JH「すいません、思わず...傘使ってください、僕はすぐそこなんで」
優しい人。
ふと聞きたくなった新曲に合わせて、ジョンハンくんの優しい笑顔を思い出すと、目の前が滲んだ。
再会してから、"後輩"として意識してなかったのも
彼との時間が楽しくて飲み過ぎたのも
彼のメッセージにちゃんと返事してたのも
彼に褒められて嬉しかったのも
彼を"アイドル"として、距離を保とうとしたのも
お見合いをしたくなかったのも
彼とミアンさんが連絡を取ってほしくなかったのも
ずっと胸の奥が痛いのも、
全部、全部...
自覚した私は、その場で泣き崩れた。
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作者名：Akubi | 作成日時：2023年3月9日 11時
