50.痛む人 ページ4
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広報部オフィス内に延々と流れるコマーシャルに、MIANさんのが加わった。
『...』
Y「綺麗よね。...喋ると少しアレだけど」
サンドイッチを片手に、私の隣に立ち並ぶユンジ先輩。
口をもぐもぐさせながらも、不機嫌そうに口を歪ませている。
確かに彼女は綺麗だ。
背もあって、大人っぽく、モデルさんのよう。
『ユンジ先輩、急に棘が...苦笑』
Y「だって本当のことでしょ。」
『あはは...』
ユンジ先輩が怒っているのは、つい先日、会社にミアンさんが来ていて、たまたま廊下で出くわしたときのことだ。
MI「Aさん！連絡先教えてくれてありがとうございました〜♪」
『え？あ、あぁ、ジョンハンさんの...』
MI「はい♪なんだかんだ今毎日連絡取ってて」
『...そうですか、良かったですねっ』
ミアンさんは嬉しそうに私の手を握ってお礼を言ってきた。
"毎日"という言葉に、ずっと感じていた痛みが強くなった気がして、その場を早く離れたくなった。
MI「Aさんは、私からしたらキューピッドみたいな人だから、色々話したくて！」
『キュ、キューピッドなんて、そんな...苦笑』
ＭＩ「そう言わず、聞いてくださいよ〜！新曲出したから、聞いてくれたみたいで、良かったよって言ってくれたんですよ〜！」
直接聞いてるわけじゃないのに、ジョンハンくんがミアンさんを褒める言葉に、痛みが増す。
何かがぐるぐると渦巻いて気持ち悪くなりそう。
事細かにジョンハンくんとのやり取りを報告してきた彼女。
無駄に強弱をつけて話してくるから、余計に神経を使ってどっと疲れる。
私たちの気も知らないで、マネージャーさんが呼びに来ると、彼女は颯爽とその場を去った。
Y「何今の」
『相当、嬉しかったんでしょうね...苦笑』
Y「それでもあんなにバラシていいのかしら？しかもうちの社内で」
『...』
その時の、ユンジ先輩の懸念は、見事に思った通り記事となり、世間を再び騒がせることになった。
≪SEVENTEEN・JEONGHAN、再び熱愛疑惑。相手はMIANか。≫
感じていた痛みは、ギュッと押し潰されそうな痛みに変わって、息が止まりそうになった。
ぐるぐると渦巻く黒いもやが、何も見せないかのように目の前を覆い隠した。
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作者名：Akubi | 作成日時：2023年3月9日 11時
