Serendipity【TH】

9【TH】 ページ10

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収録も終わりに近づき、出演者全員が、MCの後ろに並ぶ。
俺たちは、MCのすぐ後ろ。
２人のMCが進行を続ける。





≪ここまで、素敵なステージばかりでしたね！≫


≪本当にみんなかっこよかったですね！でも、今日はこれだけじゃないって知ってましたか？≫


≪え？どういうことですか？≫


≪スペシャルゲストが今日は来ています！！なんと！！あの！！Aさんが初出演です！！！≫





…ん？





≪驚くでしょ？！あの！！今人気急上昇中の、姿を見せないミステリアスアーティスト！！！なんととうとう本日！音楽番組初めての出演です！！！！≫


≪本当ですか！？本当に本当に本人ですか〜？≫





A…？
本当に…？





JK「ヒョン！どう思いますか」


TH「いや、え？ん？」


JM「テヒョンアがいつも聴いてる子でしょ！？」





スペシャルゲスト？
そういうこと？

頭が全然ついていかない。
他の出演者達も、驚いてざわついてる。





≪もう見てください！見逃し厳禁ですよ！！Aさんの登場です！！！≫





MCの声で、スモークが上がるステージの端から、淡い紫のドレスワンピースを着た女性が歩いてきた。

ストレートのロングヘアは片方にまとめられ、少しの色気と儚さが漂っている。
立ち位置を立つと、少し顔を上げた。





TH「え！！？」


JM「テヒョンア！あの子！」





≪〜♪〜♪〜♪〜≫





始まった音楽は、俺が聴くきっかけになった歌だった。
最近新曲としてセルフカバーしていた歌。





TH「本当に、あの子だ…」


JM「テヒョンアが…口説いてた子…」


JN「ヤー！口説いてたってどういうことだよ〜！」


TH「いや！前に公園で会って！今日はスタッフとして来てたんだって！！」


SG「あ？」


JH「おぉ〜テヒョンア〜落ち着いて落ち着いて」





落ち着けない！落ち着けないよ！！
だって！
公園で歌ってた人が、スタッフさんで上手で勿体無いなあって思ったところだったのに！！！
え！？じゃあ俺は結構前からAちゃんに会ってたってこと！！？

いつも携帯で聞いていた歌声も、今目の前で聴いている。
不思議な感覚で、心がふわっとした。






JM「さっきと違って、すごく綺麗だね」


TH「俺、今すごいドキドキしてる」





ジミンの手を取って、胸に当てる。





JM「ぷは！！！！笑」





いつの間にか終わってしまった歌。
最後に微笑んだ彼女。
ドキドキしたまま俺はずっと見つめていた。




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