Serendipity【TH】

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『ふう...』





公園のベンチに座って、ぼーっとする。
こんな時間が好き。
こういう時に歌が出来たりするんだけど、今日は特に出てこないかもしれない。






『...♪〜〜♪〜〜♪〜、あ。』






ふと何気なく口ずさんだ歌は、また同じ歌。
思ってたよりずっと気に入ってるらしい。
私は、しばらくそのまま歌うことにした。






『♪〜〜♪〜〜、♪〜、♪〜』






一体何人で歌ってたのだろう。
高音が綺麗な男性達だった気がする。
音楽番組を思い出しながら歌っていると、隣に誰かが近づいてきたのが分かった。






「あの〜...」


『はい...？』


「その歌...」


『あ、すいません、うるさかったですか？音楽番組で聞いてからずっと忘れられなくて』


「ああ〜。ファン、ですか？」


『いえ、歌ってる方達のことは知らなくて...』






少し驚いたような顔をしたその男性。
黒のキャスケットを被って大きめの眼鏡と黒いマスクをしていたから、目元しか見えないけど、切れ長の一重が少し見開いたのが分かる。






『ファンの方ですか？』


「あ、いや、ん〜〜、ん〜〜〜〜〜」






すごく悩んでる？笑
今はファンじゃないとか？

首を傾げて唸っている彼に合わせて、
私も首を傾げて答えを待ってみた。






≪♪〜♪〜♪〜≫


『わ、スンギオッパだ〜！ごめんなさい私帰りますねっ！帰り道、気をつけて〜！』






鳴り出した携帯に焦る私。
彼はぽかんとした顔で、こちらに小さく手を振ってくれた。
背が高くて、整った顔をしてるんだろうけど、なんだか不思議な人。

小走りで、折り返しの電話を掛ける私の後ろから聞こえた言葉は、






「またButterfly歌ってね！！！」





今度は私が少し目を見開いた。
曲名知ってたなんて。
振り返ろうかと思ったけど、
耳にあてた携帯からの親しい先輩の声で、それは止められたーー。




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