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唯一の友だち ページ8

地下道を抜け、私たちは森の中を走っていた。ここまで休憩はない。

貂「そういえば咲来は何で王宮にいたんだ?
信と同じ村の出なんだろ?」

『数年前、父は戦で死にました。当時まだ弟たちも幼く、働ける年ではなかったので、長女だった私が後宮へ売られたんです』

信「俺らに何も言わねーで行っちまったんだ、ひでーよな。あんなに仲良かったのによー」

貂「あれ?父さんが戦死したってことは、ちゃんと家族がいたのに何で信と仲良かったんだ?」

『家族がいた所で信たちとの身分と大差ないわよ。たまたま一攫千金を狙って出た戦で死んじゃったら意味ないじゃない。』

貂「咲来の父さんってバカなのか?」

信「バカではないぞ?何かあれば村中が里典か
こいつの親父に聞いてたからな」

貂「じゃあ益々信といたのが分からない」


女だから私は強くなりたかった。

生前父は何か私を可愛がり、私には何でも教えてくれた。

でも女は家事育児が出来れば充分という世の中で、読み書きが出来てその辺の子たちより頭が良いというだけで私は異質な存在だった。

私が子どもなら相手も子どもなわけで、頭で勝てないなら力で勝とうとする子もいた。そんな人たちに負けたくなかったのだ。


信「あの頃の咲来は浮いてたからなー」

貂「信ってそういうの分かるんだ!」

政「それは俺も驚きだ」

信「なんだよお前ら!!」

『そこまでバカじゃないみたいで安心しました』

信「咲来まで!」


あの時始めて家族以外の人に私という人間を認めてもらえたこと、私に夢を分けてくれたこと、それは間違いなく今の私の力になっている。

何より、信と漂は私の光だった−−−

南の刺客→←*



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作者名:セナ | 作成日時:2019年6月27日 0時

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