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配信を見終わったあと、そのままカラオケで歌っているとかなり遅い時間になってしまった。
駅には人が数人しかいなくて、いつも賑わっているはずの街が寂しい。
人気のない電車に乗ると都会特有の電車の風の音がうるさく聞こえる。
なんだか余計に寂しくなって隣の車両に移動してみると、グラグラと揺れながらうたた寝している人が1人だけいた。
遅くまで仕事して疲れたのかな、なんて思いながら前を通り過ぎようとしたけど思わず足が止まった。
「瑞稀……？」
その人はマスクをして目を閉じているから少し顔が見えずらいけど、わたしにはちゃんとわかる。
この人は瑞稀だ。
起こさないように隣に座って揺れる頭を肩に乗せてあげると、スースーと小さな寝息が耳元で聞こえてきた。
なんか懐かしいな……
それにしても瑞稀とは偶然が多い。
バレたらまたストーカーって言われちゃうかな。
「お疲れ様……今日の瑞稀かっこよかったよ、」
起きてたら絶対に言えないけど、膝の上に置かれていた手を握ってそう言った。
誰もいないしいいよね……
そして瑞稀の最寄り駅に到着して、静かなホームに軽快な音楽が流れた。
これは起こしてあげた方がいいよね、？
「瑞稀、着いたよ起きて」
『ん〜……A？』
目を擦りながらわたしの顔を確認するとふにゃっと笑ってまた目を閉じた。
いやいやまた寝ちゃダメだって！
「瑞稀起きて、瑞稀の駅だよ？」
少し強めに肩を叩くけど目を覚ます気配は全くない。
そうこうしているうちに扉は閉まって次の駅に向かって進み出してしまった。
あーあ、戻るにはお金かかるよ知らないよ？
はぁ、とため息をついているといきなり瑞稀の腕がお腹に回ってくるから変な声が出た。
「へっ、！」
『ふふ、A〜』
「ちょっと、瑞稀寝ぼけてんの？瑞稀の駅通り過ぎたよ？」
『いいよ、Aの家に泊まるもん』
「はぁ！？」
これは完全に寝ぼけてる。
ていうか頭おかしくなった？
瑞稀はこんなこと絶対に言わないのに……しかもわたし元カノなのに……
絶対目覚ましたら喧嘩になるやつじゃん。
だけどうるうるした目で『だめ？』なんて聞いてくるから仕方ない。
もう全部瑞稀のせいだよ、
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作者名：ｻﾘｰ。
| 作成日時：2020年3月8日 20時
