《10》ヒーロー ページ11
＊
騎馬戦の結果により、第三種目の出場者が決定される。やはりヒーロー科の生徒が多く、しかし唯一だが普通科の生徒が一人いた。その名前を見て、はっとした。
ただ、凄いと思った。凄いと思っていた、純粋に。
第一試合、ヒーロー科A組 緑谷出久 VS 普通科C組 心操人使。
開始早々、緑谷は駆け出したもののすぐにその足を止める。そしてゆっくりと振り向いて、歩き出した。心操、彼の個性は洗脳で、彼の声に答えた者は洗脳される。
ギミックがバレなければ、人に働きかける個性としてはほぼ最強のようなものだ。
まぁ、本人の身体能力は向上すべきものだが。
心操人使。彼とは中学校が同じで、二年生では隣のクラス、最後の一年間は同じクラスだった。その頃から彼のことはよく目についていた。私の勝手な興味と、ただの羨望だったのかもしれない。それでも彼の個性と、ヒーローに対する一途な憧れに、私は純粋な尊敬を持っていた。
ただ、凄いと思っていたのだ。
誰もが彼をヴィラン向けだと、教師すらも彼の“個性”を潰すような言葉をかけても、彼は曲がらなかった。だから私はそれらしい理由を盾に、彼と同じ雄英高校を志望した。
彼の視界に私はきっと映っていなかったんだろう。認識されても、存在できなかったんだろう。彼の視界に、心に存在できたのは彼のヒーローだけだったから。
突然の風。場外目前で緑谷が洗脳を解き、とどまった。そのまま彼は心操に向かって駆け出し、なんとも小さく、重い二人の殴り合いだ。
お互いの譲れないものをぶつけあっている感じだ。まるで子供の喧嘩みたいな。
―――心操、君のこと、ずっと凄いって思ってたよ。
ちょっとだけ、ちょっとだけ君の個性に憧れたこともあったんだ。
君の存在に、理不尽な羨望と妬みをぶつけたこともあったんだ。
君はきっと将来、凄いヒーローになる。
きっと名を轟かせられなくても、君に救われる人がいると、思ったんだ。だからこそ。
だからこそ、君にはまだ足りないものが沢山あると思う。
「ヒーローは、一芸じゃ生きていけない」
《最終種目、真っ先に二回戦に進出したのは____＿__ヒーロー科 緑谷出久！！》
＿*＿*＿
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銅のエンゼル(プロフ) - とっても面白いです！夢主のキャラが好きすぎる( *・ω・)ノ (2017年12月18日 13時) (
レス) id: 2f87dbe3f7 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - すごく面白いです。 更新頑張ってください (2017年9月13日 18時) (レス) id: b9678b20de (このIDを非表示/違反報告)
かさかさスライム - おもろいですな（＾ω＾）チート個性は苦労しますな...夢主と作者頑張ってくださいな！！！ (2017年8月14日 21時) (レス) id: 1f085f3530 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - おもしろかったです♪もしかしてUSJに巻き込まれますか？楽しみです♪更新頑張ってくださいねq(*･ω･*)pﾌｧｲﾄ! (2017年7月19日 20時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霙啼 | 作成日時：2017年7月17日 19時
