弱いとこ 1 ページ49
ため息をついた赤井さんは、私をみて一言。
赤井｢お前、平熱何度だ？｣
｢...え？35.5かな...朝だと34.9とかになったりするけど...｣
叱られると思った私は拍子抜けして、布団を口元まで被ったまま目を開けて赤井さんを見つめる。
すると赤井さんは徐に私に手を伸ばし、首元に触れた。
冷たくて気持ちいい。
私の首が熱いだけだろうけど。
｢...赤井さん？｣
そのまま何も反応がないため、こちらも反応に困る。
赤井｢平熱が低めだと、この前の微熱でもだいぶキツかっただろう。そこで体力を奪われていた上での、この高熱。無理しすぎだ。｣
やっぱり...、怒られた。
赤井｢でも、Aが生きて帰ってきて良かった。これでひとまずは安心だ。今は余計なこと考えず、体調を治すことだけ考えろ。｣
そう言って頭を撫でる赤井さん。
諸伏さんといい、この世界の大人は飴と鞭の使い分けが上手いらしい。
でも、熱に浮かされた体にはその手が心地よくて自然と涙腺が緩んで視界が滲む。
赤井｢飲み物を持ってくる。そのまま少し待っていてくれ。｣
赤井さんは私の頭を撫でると私に背を向けて扉に向けて歩きだそうとする。
その瞬間、私の心臓は痛いくらい締め付けられた。
行かないで...、置いていかないで...。
私を、ひとりにしないで。
赤井｢A？｣
気がついたら赤井さんの洋服を掴んで止めていた。
赤井さんは振り向いて私の名前を呼ぶと、驚いたように私を見つめた。
それもそのはず。
私の目からは大量の涙が溢れていたんだから。
｢行かないで...ひとりにしないでよ...。居なくならないで...！...赤井さんっ｣
消え入るような声で赤井さんの名を呼べば、熱い身体が赤井さんの腕の中に包まれる。
｢1人は嫌なの...もう、一人ぼっちは嫌...死ぬかと思った、痛くて熱くて、今もしんどい...話す度に頭はガンガンするし、寝てるのに目眩するし...もう、嫌だよ...｣
思ったままのぐちゃぐちゃな言葉を赤井さんにぶつける。
熱のせいだ。
ひとりが寂しいと思うのも、こんなに人が恋しくなるのも、甘えたくなるのも、弱音を吐きたくなるのも、泣きたくなるのも全部。
全部全部熱のせい。
赤井｢そばにいる。大丈夫だ、もう危険はない。｣
赤井さんは、私に言い聞かせるように何度も何度も言葉をかけてくれた。
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はちみつ(プロフ) - ミルクさん» コメントありがとうございます。参考にしたいと言って頂けて嬉しいのですが、どの程度参考するかに寄ります(汗)少し似ている部分があっても違う話だとわかる場合は参考にしていただいても構いませんよ！ (2020年10月16日 10時) (
レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
ミルク - 作品を参考にする事ついて質問なんですが、いいですか？ (2020年10月16日 10時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - うん。気になる() (2020年7月28日 9時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 里さん» えぇ、そうなんです。不自由な生活をさせていた分、両親は本当に主人公ちゃんを愛していたんです。そう言って頂けて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします！ (2020年7月26日 12時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
里(プロフ) - なるほど！！カクテルの意味はそんな理由が……。夢主は父と母の愛情をたっくさん貰って生きていたんですね。感動しました！！（泣） (2020年7月26日 9時) (レス) id: 98a3710ab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちみつ | 作成日時：2020年7月14日 1時
