この思いを君に捧げる 4[名探偵コナン]

宝物 3 ページ40

ベルモット｢なんでこんなことしたの。あなただって気がついているはずでしょう。私たちが真っ当な組織じゃないことぐらい。｣






私が死んだからって貴方のせいにはならないし、むしろ庇われるべきはあなたの方。


死んでもいい人間をどうしてそこまでして庇うの。


でもあなたは、痛みに歪んだ顔を精一杯笑顔に変えてこう言ったのよ。






｢なんでだろうね...理由なんてないよ。ただ死んで欲しくなかった、それだけだよ。｣






助けるのに理由なんてない。


そういったあなたに、私は不覚にも驚いてしまった。


この世には、どんな人間であろうと救おうとしてくれる人がいるのかと。


無条件で助けてくれる。


そんな人間がこんなにそばにいたなんてね。


昔から真っ直ぐで、相手のためなら簡単に自分を切り捨てる。


あなたってほんとに。







ベルモット｢ほんとに、ばかね...｣








そう言った私の声は自分でも驚くほど優しくて、思わず零れたのは笑顔だった。


それから私は、あなたに沢山の世界を見せてきた。


表舞台に立つことが出来ないのなら、せめて私と一緒にいる時間だけでも貴方にお似合いの世界を見せてあげたかったの。


あの銃撃戦をきっかけに、組織から正式にコードネームを貰い、父親を騙して生活していく中でも、あなたの瞳は昔からずっと変わらなかった。


もうこの頃には、ずっと私の腕の中に閉じ込めておきたいほど、Aは大切な存在になっていた。


私にはこの子さえいればいい。


そう思ったわ。


でも今から1年前。NYにいた時のこと。


私の命を救ってくれた少女と少年に会ったの。


その少年は、あなたと同じことを言ったのよ。


信じられる？


彼も、人を助けるのに理由なんていらないと私に言い放ったの。


その時から、私の宝物は3つになった。


私が命をかけて守らなければならないもの。


この世から消してはいけないもの。


あなた達は、私に生きる意味を与えてくれた光なのよ。


私が守るから、あなた達は自分の生きたいように生きなさい。

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