この思いを君に捧げる 4[名探偵コナン]

緋色の帰還 1 ページ16

バーボン｢えっ！？赤井が！？｣





ビンゴ。


バーボンの表情は一気に焦りへと変化する。


私とコナンくんは顔を見合わせて、お互いにニヤッと笑った。


ここまでくれば、この駆け引きはこちらの勝ちだ。






バーボン｢なに！？赤井が拳銃を発砲！？それで、追跡は！なんでもいい！動ける車があるのなら奴を追え！！今逃したら、今度はどこに雲隠れするか...！｣




そのとき、優作さんが1つ咳払いをする。


優作さんが話したい時の合図だ。


新一くんは少し呆れた表情をして、蝶ネクタイ型変声機を口元から離す。





昴｢少々静かにして貰えますか？今この家の家主が大変な賞を受賞してスピーチをするところなんですから。会ったことはありませんけどね。｣





なるほど。優作さんは、自分に変装した有希子さんのスピーチを聞きたかったから話し出したわけか(笑)


おしどり夫婦だねぇ。


新一くんが呆れちゃうのもわかる気がする。


モニターから確認出来るテレビ画面では、どこからどう見ても優作さんにしか見えない有希子さんが話している。


ただ、完璧に変装しても隠しきれない可愛さが滲み出ているところがあり、優作さんは少し冷や汗をかいているみたい...(笑)





バーボン｢...赤井？おい！赤井がそこにいるのか！！｣





かなり焦っているバーボンは、電話口で大声を出している。


でも無理はない。


赤井さんに自分の幼なじみで唯一無二の親友を殺された、と思い込んでいるんだから、そこまで執着してしまうのだろう。


実際には 自 殺 だったんだけどね...。


恐らく赤井さんが、撒かれた公安の人達の前に姿を現したのだろう。


今回の目的は公安から逃げることではなく、降谷さんに事情を話して理解してもらうこと。


自分が生きていることを黙っていて貰えるようにね。


彼も赤井さんと同じ、組織に噛み付こうとしている人のうちの1人。


話せば分かってくれるだろう。


今回のことで、そう簡単に赤井さんを捕まえられないことも分かってくれただろうしね。


ここまで来れば、こちらがすることはもう無いかな。


新一くんもそう思ったのか、少し肩の力が抜けた気がした。

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