この思いを君に捧げる 5[名探偵コナン]

私だけ 3 ページ33

その言葉を聞いた瞬間、私は弾かれたようにソファーから立ち上がった。



未だに赤井さんの顔は見れないまま。



…なんで謝るの。



好きになったのも、好きと言ってしまったのも全部私。



私のせいなのに。



どうして赤井さんが謝るの？



突き放してくれた方がよっぽど諦められるのに。






｢わたし、ちょっと外で頭冷やしてくる…｣





泣きそうになるのを唇を噛んで必死に耐えながら、それだけ言って歩き出した。





赤井｢A、最後まで話を…｣



｢聞きたくない！！…聞きたくないよ｣





赤井さんの言葉を大声で遮って、そのまま工藤邸を飛び出した。



あーぁ。大声出して飛び出していくなんてまさに子供。



なにやってんの。



工藤邸を出てから私は必死に走り続けた。



こんな時も頭は意外と冷静で。



知り合いがゴロゴロいる米花町をこんな軽装で走り回ってたら、私の知り合いが放っておくわけが無い。



とにかく米花町じゃない方向に向かって走り続けた。



どれくらい走ったんだろうか。



知らない間に流れていた涙も枯れてきた頃。






｢…おっと！｣



｢…ごめんなさい、｣





誰かにぶつかって、私はようやく足を止めた。



でもそこで立ち止まる訳にも行かず、謝ってそのまま歩きだそうとした。



しかしその後に聞こえた声に、私はこの道を選んで走ってきた自分を全力で殴りたくなるのだった。






｢怪我しなかったか…って、A？｣






聞き覚えがありすぎる声。


恐る恐る視線を上げると、そこには。







｢…快斗｣






怪盗キッド改め黒羽快斗がいたのである。

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