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「俺は案外性格悪いんだよ。」
『案外とは面白い事言うねぇ?』
「恩人なの忘れんなよ。」
『ハハ!そうだね、助かったよ。色んな意味でね。』
「色んな、ね。
つーか、どうすんだ呪物。呪いごと破壊してるからただのガラクタだけどな。粉々だし回収しても仕方ないんじゃねーか?土にでも埋めとく?」
『金属は土に還せないでしょ…。拾ってくよ。』
「お前がまともな事言うとはなぁ。向こうでえらい目にでもあったか?」
『人を不真面目みたいに言わないでくれるかな?これだから君…は…、』
そこから先の言葉は、口に出なかった。
向こうにいたのはたった数時間だというのに、伏黒君との掛け合いがえらく懐かしく感じた。
これが、タイムスリップしてしまった者の代償の1つなのかもしれない。
向こうに囚われるリスク。
全くもって恐ろしいね。呪物というものは。
伏黒君に下ろしてもらい、砕けた簪を手に取った。
私と過ごした証拠、か。
なるほど。今なら分かるよ、沖田君。
私にとってもこれが、君といた証だよ。
彼の、彼らの行く末を見たかったな。
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作者名:みゆ | 作成日時:2022年5月18日 19時