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「…ハ、ハハ。いけ好かねぇ野郎だな…。俺を惨めにさせやがってよ…。
なぁ、A。」
『…原田、君。』
「暴走して、本当に悪かった。分かってんだよ。お前に俺が釣り合わねぇ事くらい。
情けねぇよな。惚れた女を嫌な目に合わせてまで手に入れようなんてよ。
けど、それくらい、本気だったんだ…。」
『…うん。』
「俺は呪いとか知らねぇ。これでお前を縛る事になるとしても、俺にとってみれば本望だなんて思っちまう。けど、困らせたくもねぇんだ。
分かってくれとは言わねぇよ。これは俺の独り言だ。そう思ってくれ。
俺は一度愛した女を忘れることは出来ねぇ。それで身を滅ぼすとしても、後悔もねぇよ。人斬りの俺を肯定してくれたただ一人の女だからな。
そんな女の幸せくらい、最後だけは願わせてくれ。いつか幸せになれるなら、隣が俺じゃなくてもいい。
幸せを、諦めるなよ。A。」
『…っ、なれる、のかな。こんな私が…。』
「当たり前だろ。俺の見込んだ女なんだからよ。」
『…うん……。君のお墨付きなんて、光栄だよ。…頑張らないとね。』
「…あぁ。体に気ぃつけてな。」
『うん。ありがとう。原田君。』
原田君は私の答えに満足そうに微笑んだ。
彼は私の前まで来て、そっとおでこに口付けを落とす。
最後に優しく頭を撫でて、彼は背を向けて部屋から出ていった。
…君は結局、最後までいい男だよ。
自分の幸せを、捨てる事ないのにさ…。
馬鹿だよ…君は。
願わくば、彼に幸あらん事を。
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作者名:みゆ | 作成日時:2022年5月18日 19時