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眉間に皺を寄せる土方君を見て、あ、また豊玉発句集盗まれたんだなって理解した。
とは言え私がこの時代に生きてた頃は沖田君と一緒に盗んでたんだけどね。
だってあんなの盗むしかないでしょ。
面白いんだもんさ。
なんだっけ？
梅の花 一輪咲いても 梅は梅
だっけ。
思い出して笑いそうになるよ。
当たり前だろ！って突っ込むしかないよね。
｢とりあえず総司。他の奴らがここに寄り付かないようにしておけ。｣
｢えー嫌ですよ。めんどくさい。土方さんがやればいいじゃないですか。｣
｢うるせぇ！これは副長命令だ。｣
｢はいはい職権乱用ですね。しょうがないから行ってくるけど、君、勝手にいなくなるなよ？｣
『だからここから出られないって言ってるじゃないか。あ、向こうで解決したら帰っちゃうけどね。』
｢まだ待ってろって言っといて。｣
『どうやって？？』
沖田君は腰をあげ、さらりと私の頭を撫でて出ていった。
まさかの子供扱い？…悪くない！
一応16歳だからね。身も心も子供に間違いはないよ。
｢…お前。あっちで元気にしてるのか。｣
『まぁね。ずっとサボっていたけど、今はちゃんと呪術師やってるんだよ。』
｢…そうか。
何故突然消えた？｣
『君もそれ聞いちゃう？なんて言うべきか、表に出られる状態じゃなくなっちゃったんだよ。突然だったから連絡も入れられなかったんだよね。』
｢それは呪術師だからか。｣
『そうだね。呪術師は厄介な事に巻き込まれるものなのさ。』
｢…俺には呪術師がどう言ったものなのかは分からねぇ。だからそれが原因なら深くは聞かねぇよ。だが、これだけは言っておく。
お前が消えたあの日から、アイツらは血眼になってお前を探してた。馬鹿みてぇにな。仕事に支障をきたす奴もいた。お前の存在はそれ程だだったっつつことを知っておけ。｣
『…そうだったんだね。ごめんね、土方君。』
｢悪気があった訳じゃねぇのは知ってる。ただお前は自分の価値を理解出来てねぇ馬鹿だからな、この際はっきり言ってやろうと思っただけだ。｣
『…。』
こんな形で知ることになった、私の存在価値。
最近になって、何でこう似たような事を言われるようになったんだろうね。
他人と違う箇所なんて何千年生きたと言うだけで、実際大した人間でもないのにさ。
加えて君達なんて、もう…。
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作者名：みゆ | 作成日時：2022年5月18日 19時
