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「両親の墓参りとか、長らく行っとらんわ」






「なんやなんや、あの日って墓参りのことやったんか」



「誰かの命日なんか? どうなん、しゃちょー」



「しかも社員総出とか、たいそーな人物やん」





「またこの日がやって来たんだね」

「ええお兄様、...あれから、私達も年をとりましたわね」

「そんなこと言ってもナオミはまだまだ若いじゃないか」

「そうですけれど...全く、時間の経過とははやいものですわ」

「...今でもまだ現実味がないよ」

「確かにそうですわね、あの人、無断欠勤が多かったですから」





「ふんふん、無断欠勤が多かったんなら私と会うことがなくても納得やなー私も無断欠勤多かったし」



「...にしても、ここ、私の両親もいる墓地やん」



「一体誰の墓参りなんや?」





___川端家之墓





「...ん? なんや、私と同じ苗字なんか? それか私の家族の墓参りに来たんか?」



「それとも、」





「川端が亡くなって、早数年経った」

「は」

「彼女のガス中毒死が事故だったのか、自死だったのかはわからないが、」

「ちょ、しゃちょーどういうことやねん」

「...我々には彼女の死を悼み、前に進まなければならない義務がある」

「聞こえてないん、?」





「ちょちょちょ、なんで皆私の名前呼んでんねん、ここにおるって、私は死んどらんって」





「きっと、彼女の思念体が今もここにあるんじゃないのかな」

「太宰」

「そうだろう? 国木田くん、なんてったって彼女の異能力は」





異能力「伊豆の踊子」

寿命と代償に己の思いを創造する事ができる






「ガスで死ぬ間際に異能力を使ったのならきっと形になるのは今頃だ」

「! ということは、ここに」

「ああ、あの人がいる可能性も高い...まぁあと少しの命かもしれないけれどね」





「そっかぁ、私、死んでたんやなぁ」










「これじゃ墓参り、行きたくても行けへんわ、」





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メロンパンもどき(プロフ) - ハッッッ!!!泣いた…川端さん…切ないよぉぉ!!!泣いた。神作品をありがとうございます!!! (9月18日 21時) (レス) id: c90bc45125 (このIDを非表示/違反報告)
コロッk - ヤバイです泣けます。本当にありがとうございます。 (5月14日 1時) (レス) @page18 id: da276811c6 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(プロフ) - もう最高……語彙力死んでるので一言だけ……。この話作ってくれてありがとうございました。 (5月14日 0時) (レス) id: 711d636919 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宮月うみの | 作成日時:2023年5月6日 19時

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