File.852 ページ17
Aside
「意気消沈して海をぼんやり眺めていたら......天使を一人見つけたって訳さ!」
「えっ?」
「僕の勘が正しければ...恐らく君は僕の救いの女神になるはず」
「あっ...め、女神だなんて...(照」
道脇さんはそう言って園子ちゃんに笑いかけた為、園子ちゃんは頬を赤らめている
優しそうに見えるけど裏があるから止めた方がいいと言いたいけど、そこはグッと堪える事に決めた
自分の事を助けてくれる存在だと言われ、顔を真っ赤にしている園子ちゃん
......二人のやり取りを見ていると私達は完全な空気よね?(苦笑
しかも相手は茶髪女性連続殺人事件の犯人だから余計に複雑な気持ちが芽生えてくる
その時、ドンッと何かをぶつける音が聞こえた為、振り向くとそこにいたのは後に園子ちゃんの彼氏となる人物【京極 真】
彼は道脇さんが頼んだビールをテーブルに置いているが何故か音が強い
もしかすると彼は...いや、あえて言わないでおこう
「生ビール、お待たせしました」
「あぁ、どうも」
「お客さん、タバコの灰は床に落とさないで下さい。後で掃除が大変ですから」
「あっ、あぁ...」
京極君は言いたい事を言い終えるとすぐに離れていき、道脇さんは言われた通りにタバコの灰を灰皿に落としている
こうやって見ているとヘビースモーカーの萩原君と松田君を思い出すわね...
あの子達も休憩時間になるとすぐに喫煙室で一服するし...
まあ、今回は志保達の保護者代わりとして明美と一緒に来ているから文句はないでしょうけど
「態度が悪い店員だな...」
道脇さんがそう言うと園子ちゃんも賛同しているかの様にジト目で京極君の事を軽く睨んでいる
その時、蘭ちゃんが「ねえ...あの店員さん、どっかで会った事ない?」と言っているのが聞こえた
会っているも何も蘭ちゃんの空手の試合の会場で会っているからね
まあ、私と違って記憶がおぼろげになっているから曖昧になってしまうのも無理はないだろう
「会ってるも何も私達が泊まってる旅館の主人の息子さんよ。夏休みだから手伝いに帰ってるんだって」
「ずいぶん詳しいわね、園子」
園子ちゃんが京極君の事を詳しく話してくれた為、今まで黙って聞いていた志保がずいぶん詳しいわねと言うと玄関先で私達の事をジロジロと見ていた事もあり、そこで不審に思った園子ちゃんが旅館の人に詳しく聞いたらしい...
今まで黙って聞いていた真純は「そう言う事だったのか...」と言って納得し、明美も園子ちゃんの話を聞いて納得している
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作者名:黒羽明菜 | 作成日時:2022年2月23日 13時