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あの日以来彼女を避け始めた
しばらく会うのはやめよう
自分勝手にそう決めると、彼女からのメッセージも無視を貫く
彼女が嫌いでしているわけではなく、彼女について考えたいから距離を置くつもりだった
なのにこのタイミングで想い人が恋人と破局をし、あっという間にある噂が広まる
"別れて及川徹と付き合っている"
正直、嬉しかったけどそれは所詮ただの噂
そして彼女がその噂を聞いてしまったのではと慌てる
あれ、なんで慌てる必要がある?
彼女は所詮、セ、フレという奴で別に気にしなくても良いのに
「……あー、くそ」
イラつきが自然と口に出る
なぜ彼女の事を考えているのか、なぜ恋人と別れた想い人に気持ちを伝えないのか
自分の気持ちが落ち着かない
最近はずっとこうだ、いや、彼女と会わなくなってから余計に
授業開始のチャイムを聞き一旦考えるのを止め移動の準備をする
最悪、クラスめちゃくちゃ遠いじゃん
これは遅刻だわ
これから起こる厄介ごとに顔をしかめつつ足を進める
もうすぐ教室に着くという頃には人はほとんど居らず、静な廊下
ふと曲がり角を曲がるとトイレから出てくる女
見覚えのある横顔
そこには顔が真っ青な彼女が、目と鼻を真っ赤に腫らしてうつむいていた
「!!!」
いつもと違う様子に心配になり声を掛けに行こうとする
しかし自分の存在に気づかなかった彼女はものすごいスピードでその場を立ち去っていった
普通に遅刻した授業も終わり、クラスを見渡す
やはり彼女は来ていなかった
あの顔色に表情、何かあったに違いない
会いに行くのを控えていたがこのままだと心配で色んな事が手につかない
そう思った俺は早々に教室を出ると彼女の家に向かう
途中でコンビニに寄りお粥とフルーツ缶を買うと、そこで初めて自分の機嫌が良くなっている事に気づく
「………ダッサ…」
久しぶりに彼女と会える、話せる、触れあえるそう思うと腹の底からぐわぁあと何かが沸き上がってくる感じがする
その気持ちを抑えることもできず早急に彼女の住むアパートへ向かう
いつもは緊張しないのに、インターホンを押すだけでやけに心臓がバクバクとうるさい
「……ふぅ…」
一息吐き、心を決めてボタンを押す
いつもの軽やかな音が何度か鳴り、ガタガタとこちらに向かってくる音がする
いつまで待ってもインターホンから声がしないので、まさかと思って待っているとそのまさかだった
ガチャ
案の定、彼女はカメラを確認せずに扉を開けた
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作者名:Machya | 作成日時:2018年5月30日 7時