白か黒か2＋及川徹 ページ43
俺には体だけの関係をもつ子がいる
好きな子に彼氏ができた時
俺が凹んでいる所に現れると俺の手を握りうつむいた俺の顔を覗きこむように下から見上げ真っ直ぐな目で
『貴方を想っている人もいます！』
なんて意味の分からない事を結構なボリュームで言うと、顔を真っ赤に染めながら
『わ、私は貴方の事を想っています！！！』
だから、頑張って！そう続けて言う
彼女は俺が好きなのになぜ俺の恋の応援をしているのか、ますます不思議な事を言うこの子にさっきまでのマイナスな感情が少しましになった
だから彼女にすがった
初めて見知らぬ女を抱いた
見知らぬ女といっても実は同じクラスだったのだか
最初の一回で終わるつもりだったのに
彼女の俺に対する想いが思っていたより大きく、いつの間にかほだされていく心
そういう彼女は最初の１、２回目まではこの関係を正式なものと思っていたのか、そわそわしていつも真っ赤だったけれど、何回目からかは悟ったようで顔が赤くなることはあれども自分から積極的に来ることは無くなった
物分かりが良い彼女を利用した
辛いことがあると彼女の家に入り浸り、都合が悪いと無視
自分でもかなり最低なヤツだと思う
ただ最近は彼女を見ると、彼女の料理を食べると、彼女と居るとひどく自分が落ち着くのが分かる
そうしてその感情は行動を通して割と鋭い彼女にバレていた
ある日の朝、いつものように笑顔で俺を起こしてくれる彼女を布団から出さないようにしっかり抱き締める
らしくない事を聞いたと後で後悔した、自分の事が好きか、なんて
彼女の答えは、もちろん自分でも分かっていた答え
頬を染めて少し震えながら真剣に伝えてくれる
そんな彼女を見て安心する
だがいつもならここで引き下がるはずの彼女がその日は違った
『…私の事どう思ってる？』
初めて聞かれたその質問に思わず口が止まり顔が崩れるが直ぐに気を取り直し笑顔を作ると
話を反らすように全然違うことを言った
真剣な表情で俺を見つめていた彼女は返事を聞くや否や
一瞬表情が曇るも直ぐに作った笑顔を見せ
『……直ぐ準備するね』
そう言って俺の腕からスルリといなくなってしまった
居なくなった彼女の空間を眺める
彼女は最初から自分にハッキリと気持ちを伝えていた
彼女はこの関係以上を望んでいる
分かっているのになかなか変えれない
いや、自分が変われない
そんな俺にも変わるチャンスが訪れる
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作者名：Machya | 作成日時：2018年5月30日 7時
