shOrt stOry

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『…ん…』

窓から入る光で目を覚ます
隣を見ると私を抱き締めたまま彼はぐっすり眠っていた

今日は土曜日だから大学は休みだし、彼もバレーは休みだと言っていた為少し布団でのんびりすることにした

彼に向かい合うように横向きになるとその動きで彼も少し目を覚ます

「んー…？」

『…おはよう…！』

「…ん…はよ…」

半分開かれた目と視線が合う

『まだ寝る？ご飯の準備しようか？』

返事を聞く前に布団から出ようとすると私を更に抱き締めて布団から出さないようにする

「…もう少しこのままで」

『…わかった…』

彼に引き留められた事と近い距離に心臓がバクバクと喜びを表している
その音があまりに大きかったのか彼からからかわれる

「昨日の夜あんなにいろんなコトしてるのに…(笑)」

『…だって……』

思わずうつむいてしまう
それを見た彼はいつもとは違う真剣なトーンで

「…そんなに俺の事が好き？」

思わず顔を上げる、彼は真剣な顔で私を見ていて自然と目が合う

『…うん……すごく好き…』

少し震えてしまった声
彼はその返事に驚く事もせずに、私から目を背けるとそっか、とだけ

やはりいつもの彼と違う
体だけの関係を望んでいる彼からこんな事を聞かれるのはあの時以来始めてだ

もしかして、彼はこの関係を変えたいのだろうか、良い方向に変わるだろうか

そんな淡い期待を込めて始めて自分から彼に聞いた

『…徹は…？』

『…私の事どう思ってる？』

まさか私からそんな事を聞かれると思っていなかったのか驚いた顔をして私を見る

「…………」

だけどそれはすぐにいつもの顔に戻り作られた笑顔に変わる

「……お腹すいたな…！」

・

あの日から彼は私の家によく来るようになった
彼からの連絡は突然で、家に来る日だけ
そして彼の家に行ったことはない

大学では一切話しかけられず、目すら合わなかった

始めての時にかなり期待していた私は、彼のこの態度に都合の良い女になったのだと早々に気がついた

なにせ彼は大学にいる時は必ずといって良いほどあの子と一緒にいたから

そして彼はまだ彼女を想っていた

それは彼を想っている私から見ると一目瞭然でただただあの子と上手くいかないようにと願ってしまった

彼はあの子と何かあると必ず私の家に来て私を抱く
最初はあの子の代わりだと思うと辛く
幸せな気持ちと辛い気持ちが交互に表れていた

しかしそれも彼の態度が少しずつ好意的になっていた為だんだんと薄れていった