ふたりの愛情論(仮)【赤井秀一】 (ページ25)

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そう言うところページ25

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会計を終えたふたりにお礼を告げ、止めていたタクシーに誘導する。
3台しか止まっていないタクシーに、降谷はこの場にいる4人の住所を脳内で確認し始めた。

自分を除き、ジョディはゲーセンの近い賃貸、赤井はずっと警察庁近くのホテル暮らし、ここから距離があるのは新堂だ。

「ヒナ、明日は午後からの本庁でいい」
『え、いいんですか？』
「あの様子じゃ、風見もキャメルも来たとしても使い物にならなそうだからな。ミーティングは午後からに変更する。サイバー課の件も無理言ったしな」
『そんなの今日の飲み会でチャラですよ、奢ってもらっちゃって』
「仕事人間のお前はこうでもしないと休まないだろう」

あっけらかんと答える新堂に、降谷はため息混じりに答える。

『じゃあ、お言葉に甘えて。タクシーはすぐにつかまえますので、皆さんお先にどうぞ。異論は受け付けません、この場では私が一番のぺーぺーなので』

さすが左腕と言われ続けるだけのことはある。降谷の思惑を優に見通していた。
諦めたように笑った降谷は、自分が乗らないことには始まらないと大人しくタクシーに乗り、帰路についた。

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その次にタクシーに乗り込んだのは、ジョディだった。だいぶ酔いは覚めたものの、ほんのり頬を赤らめたまま、赤井と新堂を交互に見てむふふと笑って消えていった。

しんとなる空間に、新堂はつとめて明るい声を出した。

『赤井さんもお疲れさまでした。ではまた明日、』

射抜くような視線に一礼し、背中を向けて歩みを進めようとした新堂だったが、

何も言われず手首を武骨な手につかまれ、気づけばふたり仲良くタクシーに乗っていた。

端的に目的地のホテルを告げた後、赤井は窓の外に視線を向けたまま一度も言葉を発しなかった。
しかし、離すタイミングを逃したのか、特に何も考えていないのか。

恋人繋ぎなわけでもない、ただつかまれただけの腕に不器用に伝わる温もりが愛しかった。

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