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「フルヤくん」

 恰幅な指が、降谷の肩を叩いた。
 季節はすっかり春。警察庁の近くの桜も、すっかり見頃を迎えていた。警察庁にも慣れないスーツに身を包んだ顔が、いくつか見受けられるようになった。





「桃原警視長」

「相変わらずの暗躍。こちらの耳にも届いているよ」

「恐縮です」


 目尻の辺りは、似ているだろうか。厳格な顔だが、破顔したところは、娘にそっくりだ。いや、娘がこの父親にそっくりなのだ。



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「正直意外だったよ。君は、有り難いことにうちの娘を信用してくれていたみたいだからね」

娘が協力者を外れたことは知っているだろうが、理由までは知らないのだろうか。
どこをどう切り取っても、いまいち理解のできない警視長の言葉に、降谷は少し顔を歪めた。

そのわずかな異変を察知した桃原は、低い声で喉を鳴らした。




「君なら引き留めると思っていた。娘は、昔から頑固なところがあってね、亡くなった妻との約束だからと断ろうとしなかった。私も少し、寂しいんだけどね‥これがあの子の決めた道だ」




「あの、彼女が協力者を辞めた件ですよね?亡くなった奥さまとの約束って、何のことでしょう」





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 桃原は、目を丸くした。聞いてないのか、と。





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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 降谷零   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ハル | 作成日時:2021年9月12日 0時

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