検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:17,660 hit

ページ23

.



 “ 別れてください。
   返事はしないでください ”



高校2年生の夏から、大学4年の2月まで付き合った彼との終止符は、そんな言葉だった。
直接言われた訳でも、メッセージが送られてきた訳でもない。

 彼が家に泊まった翌日、そんな置き手紙がテーブルの上に残されていた。
その日から、連絡は繋がらなくなった。







 昔から、人間関係や愛には希薄なタイプだった。人見知りで、誰かと行動するのが苦手で、寂しがり屋だけど一人が好きで。家族にすら、大きな相談事はできなかった。
 人は鏡。自然と、自分の周りに集まる人は少なかった。


 最初こそ、その彼とも仲良くなれなかった。ただ同じクラスなだけ。きっかけがあるとすれば、同じく園芸委員だったということだけ。

気づけば一緒にいて。
気づけば好きだった。





.





 その男は、彼女の胸にぽっかりと穴を作った。家族の次に、無償で未経験な愛をくれた人。
 彼は、こんなにも深く彼女の心に傷をつけたことは知らないだろう。いや、思いもしてないだろう。





.





 心にぽっかりと穴が空いた状態で出会った男。後に、プロポーズされる人である。
言うならば、性格は前の彼とは真反対。少し抜けていて、料理も車の運転も下手くそ。慣れた様子でエスコートなんて出来やしない。

 でも、女が作る壁を一生懸命上ろうとしてくれる人。





「君の心が決まるまで、明日でも明後日でも、一年後でも十年後でも。僕は此処で待ってるから」

 その人は、彼がくれなかった言葉を、プロポーズの言葉としてくれた。

 女は、何も応えられなかった。





 .





.





別れてから7年。
プロポーズを受けてから二週間後。




 Aは、見た目は全く変わらない元彼が、全く別の名前で喫茶店員兼探偵をしている姿に出会うことになる。






.

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 降谷零   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハル | 作成日時:2021年9月12日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。