今度の審神者は超怖がりでした《弐》 (ページ40)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:209,149 hit

ナレーションの呪いページ40

ゴォオオ！
燃え盛る炎に囲まれた2人の幼い兄弟。
先程までいた両親は兄弟を置いて逃げた。

息が苦しく視界が眩んだ。兄は弟を庇い落下してきた壁に当たり火が移る。

｢っああああ！｣

『に、兄さん！』

何とか外に出そうと兄を背負い焼ける右半身の痛みに耐えながら外に出た。
呼吸が上手く出来なくて病院に搬送。
兄は既に息を引き取っていた。
その後、弟は捨てられ兄を亡くし人に憎む心を知った。両親を特に憎んだ。自分達だけ脱出してこの地をさ迷っている事。許せなかったのだ。

でも人前では言わなかった。顔にも出さず醜い火傷跡も見せなかった。人に怯え人から逃げ、怖がった。そんなことをしているうちに何故か無理やり審神者にさせられた。
ブラック本丸とかいう小さい頃から大っ嫌いなお化け屋敷風の所に連れていかれた。
怖くて何も出来ずただただ怯えていた弟はいつの間にか普通に話す事が出来ていた。
何故だろう。ふざけてふざけまくってるだけなのに何故だろｰｰ。

『長ぇえええええええっ！！！』

ん？

『ん？･･･じゃねーんだよ！なげーんだよ！何人様の人生語ってんの？ナレーション長すぎんだろーが！』

たまにはこーゆーのもいいだろう？
ナレーションじじいの気まぐれ語り。
貴様今気絶状態なんだし。

『良くねーよ！さっさと俺を起こしやがれ！』

･･･うるさいな。もっと語らせておくれよ。
･････････ばぁっ！

『ひぃっ！』

だっハッハッハ。今の驚きでこんのすけが今週絶対頭上から落ちてくる呪いをかけた。
精々審神者、頑張るのじゃぞい。

『･････････』

ーーーーーーーーー
何だったんだ。俺は重たいまぶたを開ける。
するとベチッ！と顔を覆う物凄い音と暗闇で視界が覆われた。

｢審神者様ァァァァァァ！！良かったァァァァァァ！！｣

右から左へ受け流すその甲高い声は俺をビビせた。

『ぎゃぁぁぁぁあああああっ！！』

何だ？何だ！モフリモフリと毛が辺りくすぐったくてブンブン首を横に振ると。

｢うわぁあっ！やめ、やめてくださっ！審神者様ッ！こんのすけ落ちる！真っ逆さまに落ちちゃうぅう！｣

『だ、誰か！この審神者にくっつく謎の物体剥ぎ取ってぇええっ！』

こんのすけが頭上から落ちてくる呪いは本当だったようで。俺は一週間地獄に落ちたような感覚だった。

獣くさい。こんのすけ。