今度の審神者は超怖がりでした《弐》 (ページ28)

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主、風邪を引く④ ページ28

カネさんside

俺は焦っていた。昨日ガッツリ俺と真剣勝負したのにいきなり今日熱を出した。

｢カネさん！タオル！｣

『お、おう！』

主の部屋に着くと山伏国広と鳴狐が主の身体を拭いていた。

『すまねぇ･･･入るぜ･･･』

虚ろな目で俺を見上げる主が昨日とは違う雰囲気をしていた。弱々しく少しだけ笑われると気が狂っちまうぐらいに。

｢あ･･･カネさんだ･･･やっほー｣

『おい、お前昨日まであんなに元気だったじゃねーか･･･』

｢これが人と言うものさ･･･はっはっは｣

部屋には数枚と折られた鶴や狐に兎･･･それに俺に向けてきたカエル。謎の竜！？も置かれていた。

『オラオラ、額にタオル乗せるから横になれ』

｢･･･なんで喧嘩腰？｣

｢さて、拙僧達は次の仕事を決めてくる･･･失礼する｣

｢･･･じゃあね｣

そういった山伏国広と鳴狐は出ていき、俺と主だけ残る。

｢はぁ･･･はぁ･･･｣

『苦しいか？』

｢お、心配してくれてる？ありがと･･･う｣

『俺はカッコ良くて強いからな！風邪は引かん！』

｢カッコ悪くて弱い俺だから風邪引いたんだよ｣

『そ、そんなつもりで言ってねぇからな、冗談だからなっ！』

｢なんで焦るの･･･冗談なのに｣

フハッと少しだけ笑ったので安心する。

『･･･この折り紙、全部てめぇが作ったのか』

｢俺以外に誰がいるんだい？げろりんちょ｣

『･･････竜なんてどうやって作るんだ？』

｢げろりんちょは無視？ねぇ？･･････竜？あぁ、それ鶴にできなかった失敗作だよ｣

『鶴？！』

これ、俺のお守りとしてみんなに配ってるんだ･･･。
そういった主は立体まよねーずを俺に渡してきた。

｢･･･ありがとな｣

『･･･何故礼を言う』

｢看病なんて･･･いつぶりだろうな｣

『･･････』

軽くチラ見すると服を着ていない主の右半身に残る痛々しい傷が目に焼き付いた。

｢どーされた？げろげーろ｣

『うひぃっ･･･てめ･･･』

｢あはははっ愉快愉快｣

『愉快愉快じゃねーんだよ、こっち見ろゴラ。オラ目を逸らすんじゃねぇっ』

｢主の新技、高速目逸らしっ！見よこの華麗な首振りを｣

ブンブン！と千切れる位首を振る主。

『目逸らしじゃなくて首振りになってんじゃねーか！！』

今の主にその傷が何かを聞くのはよしておこう。
とりあえず、俺を馬鹿にするのを止めないと･･･。