ご飯食べてるか食べてないかの話 ページ28
だんだんと空は明るくなり人も多くなる。誰もいなかったその場所は人で溢れかえり話声さえ無かったのにもう賑やかな街並みが出来上がっていた。
『・・・・・・遅い』
しょぼんとずっと待っていると・・・。
「悪ぃ、待たせちまった・・・」
と言いながらもめちゃくちゃゆっくり歩いてくるお兄がいた。荷物が結構多い。旅行か!
『・・・お兄、その荷物・・・何?』
「これ?旅行行くって言うから、沢山持ってきーー」
『旅行じゃないよ・・・墓参りだよ・・・』
「でも、武州まで結構あるから長旅だろィ・・・旅行じゃねーか」
『・・・もういいよ旅行で、ほら。行くよ』
「勝った・・・」なんて小声が聞こえてきたが聞こえてないフリして歩き始める。何も言わずに無言の会話が進む。ただ何も話さず歩いていく。なんて思っていたがお兄、めちゃくちゃ話しかけてくる。
「お前、ちゃんと飯食ってんのかィ?」
『食べてるよ・・・』
「何時でさァ」
『・・・お兄がいない時』
「おめー食ってねーだろ。本当は・・・ほんとーは!」
『・・・食ってません・・・て・・・』
「て・・・?」
『て、てへぺろ☆』
「・・・お前帰ったらシバく」
『じゃあ絶交だね・・・』
「え、わ、悪い・・・お兄が悪かったから」
『・・・仕方ないな』
「なんで俺の前で食わねーんでさァ・・・土方の前では食うくせに」
『・・・お兄なら、許して貰えると思って』
「なんででさ・・・」
『・・・・・・・・味が、あんま感じられない・・・から。別に食べてもいいんだけど、やっぱ美味しいって思いたいじゃん。けど、食べる事が必要になくなった途端味があまりしなくなった。信じ難い事だよな』
「・・・また介護してやろーか?ん?」
『結構です』
こんな話をしていると、近くでいい匂いがしたのかおにが足を止める。団子屋だった。さっさと中に入るお兄。取り残された俺。
数分後中から出て来たお兄の手の中には団子が沢山。
『・・・俺食べないからね』
「なーに言ってるんでさ。てめーのために買ったのに」
俺のため?こんなにも数本も?タレやあんこやゴマが上に乗っかった団子。色で見ればわかるのだが。
「ほれ、食ってみろィ・・・」
『・・・要らないって』
「なぬ。お兄の有難みをトクと味わいなせぇ」
介護してやるからなんて付け足し俺の口が開いた瞬間にぶっ込まれた。
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Lime(プロフ) - 【死神くんは真選組】めっちゃ面白いです!主人公の過去とかもしっかりしてるし想像力豊か!!僕原作沿いの小説苦手で非原作沿い漁ってたんですけどとてもいい作品に出会えました!!更新ゆっくりでいいので待ってます! (2022年7月5日 22時) (レス) @page48 id: 9dc1bcf53d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のろすけ | 作成日時:2019年6月17日 19時