人斬りが現れた! ページ26
『はぁ・・・』
お兄と別れて俺は暗い路地に入っていく。反省をしているのならそろそろ許してやろうか・・・と思う。
重い溜息を吐き、精神を正す。ジャリジャリと響く足音だけで気配も何も感じなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーが。
「おやおや、こんな所でいい獲物を見つけた」
『!?』
5m先の屋根上に立つ黒い影が目を光らせて笑っていた。一歩引いて刀の柄を持つ。
「まだ若いが、いい相手になりそうだ・・・お前さん俺と戦ってくれないかね?」
『・・・・・・』
「それは、YESととっていいんだね?」
バサッ!と降り立つそいつは邪悪な霊気が感じられた。でも人間。奴が刀を抜くと同時に俺も抜く。
男は突進してきた。刀を構え腰を落とすともう目の前には男の姿がなかった。変わりに物凄い殺気を背後から感じて背後に刀で防御する。
「・・・ほぉ、なかなかやるじゃないか・・・」
俺も殺気を飛ばし威嚇する。刀を振り、人斬りに挑む。右、左へと物凄いスピードで攻撃を仕掛ける。
「よく見たら真選組じゃないか・・・でもお前さんみたいな子供もいるんだなぁ・・・あっ?!」
子供・・・に反応して俺は男の肩を斬った。激しく飛ぶ血飛沫。俺の顔にも降りかかり返り血をあびる。
「・・・あーらら。まさか子供扱い苦手?」
『・・・・・・・・・』
無言で攻め続ける。先程よりも速い攻撃を与える。次は首を飛ばす・・・なんて考えて動いたらーーーーー。
バキッ!
『ッが・・・ぁ・・・』
「うひー、危ない所だった。俺もまさかここまで追い詰められるとは思ってなかったよ。本気出しちゃおっかなぁ・・・」
鳩尾ーーー。人体の急所3つのうちの1つ。俺は激しい痛みにガクリと膝を落とす。油断していた訳では無いが、月夜に光る人斬りの眼にゾクリと身を怖がせる。
「・・・・・・俺は人斬り、柘榴(ざくろ)。聞いた事はあるんじゃないかな?」
『・・・・・・・・・ッ』
「楽しもうじゃないか・・・お前さんも人斬り要素ありそうだし・・・な?」
今夜の見廻りは最悪な日になりそうな気がする。
16人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のろすけ | 作成日時:2019年6月9日 22時