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「「「かんぱーい!」」」


フェニックスが終わってこちらに戻ってくると、Aがお疲れ様会をしようと言い出すので壮真と3人で飲むことになった。

そこであることに気づく。


「なぁ、なんか距離近くね…?」


俺が宮崎に旅立つ前と比べて明らかに壮真とAの距離が近い。
まさか俺がいない間に付き合って…?


「わかる?実はね〜長岡くんのいない間に壮真とめっちゃ仲良くなったんだ〜!」


誇らしそうにそう言うAを見て、思わず壮真の方を見ると、うんうんと頷いている。
呼び方も"壮真"になっていた。


「私ひとりっ子だからさ、弟ができたみたいで嬉しくて」
「俺もAさんのことはお姉さんみたいに思ってます」


俺がいない間に何があったというのだろうか。
どうしようもなくモヤモヤする。

ちょっと怪訝な表情をしていた俺を見て、Aがはっ、と声を上げた。


「もしかして私と壮真が仲良くなったから妬いてる!?」
「え、そうなんですか秀樹さん」
「は!?」


突然何を言い出すのかと思い、呆れ顔で2人を見つめる。
そんな俺を他所に彼女が続けた。


「安心して!あくまで弟みたいにしか思ってないから!壮真とどうこうなろうなんてこれっぽっちも思ってないから!」


そう弁明する彼女に違和感を覚える。
その言い方じゃ、俺が壮真じゃなくてAに嫉妬してるみたいじゃないか…?


「いや、何言って…」
「大丈夫、私そまひでの邪魔をする気なんて露ほどもないから!」
「は…?」


嫌な予感がして壮真の方を見る。
案の定とてもいい表情をしていた。


「実は秀樹さんのいない間にAさんに俺たちのプレゼンを沢山しました」


ニコニコしながらそう、訳の分からないことを壮真が言う。


「君たち距離感おかしいよ…そりゃあ何かあるんじゃないかって、疑われるよ…」
「そんなわけで今ではバッチリそまひでのファンです」


目の前のふたりから紡がれる言葉たちに呆れが止まらない。
なんつーことをしてくれたんだ壮真。

そまひでと呼ばれてちやほやされて嬉しかったのは事実だが、決して俺と壮真には何かある訳では無い。
確かに壮真のことは好きだがそれはあくまで後輩として、チームメイトとしてだし、無論恋愛感情なんてものは存在しなかった。
 
 
 
 
 

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作者名:星見杏世 | 作成日時:2023年10月8日 3時

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