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「あれ?もしかして他の女性とやり取りしてて寂しいですか?」
「んなわけあるか!勝手にしろ!」
そう言うと壮真がくすくす笑う。
本当にイイ性格してるなと思った。
「でもAさん結構素敵な方だと思いますよ?溌剌としてるし裏表とか無さそうだし…やっぱ俺たちのこと知らなかったから色眼鏡で見られないってのが有難いです」
そう素直にAを評価する壮真になんとも言えないモヤモヤを覚える。
「秀樹さんは?どう思います?Aさんのこと」
「いやどうって…悪いやつではないと思うけど」
「なんですかそれ笑素直じゃないなぁ…」
「あーもう知らん帰る!」
生意気な後輩に踵を返す。
俺もなんかAに連絡してみるか?と思ったけど内容が思いつかなかったのでやめた。
「あ、待ってください秀樹さん」
「なに」
「今ちょうどAさんから連絡があって、地酒いらないかって」
「地酒?」
「なんかOBの人から貰ったらしいんですけど、後輩で飲める人いないからって」
「俺らがもらっていいわけ?」
「1人じゃ消費できないからって。あ、秀樹さん今日空いてますよね?」
壮真がスマホを弄りながらこちらに微笑みかけてくる。
え、何、怖い。
「出かけますよ」
「は?」
「支度して10分後にここに集合で」
そう言うと壮真は自室の方へ戻っていく。
いや、おい、は?
10分後
は?とか言いつつちゃんと支度して降りてくる俺なんなんだろう…
壮真と出かけるのは楽しいので断れない自分がいる。
「秀樹さん、時間ぴったりですね」
壮真も俺が断らないのを分かっていて、ああいう強引な言い方をするんだよな…
寮を出るとそのまま門の方に歩いてく壮真。
「え、どこ行くの?車は?」
「すぐそこなんで歩きでいいですよ」
そう言って、壮真がスタスタと歩き出す。
マジでどこ行くんだよ…。
10分ほど歩くと、住宅街のアパートの前で壮真が立ち止まった。
そのまま壮真がアパートの階段を上がっていく。
いやどこだよ、誰ん家だよ。
心配する俺をよそに、壮真は角部屋の前で止まるとなんの躊躇いもなくインターホンを押した。
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作者名:星見杏世 | 作成日時:2023年10月8日 3時