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「げっもうこんな時間!?私このあとバイトなんだよね、じゃあまた!」
 
 
そう言いながら彼女が勢いよく立ち上がる。
そのまま少し離れたところに止めてあった自転車まで駆けていき、あっという間にその場を去っていった。


「なんか、嵐みたいな人ですね」
「な、忙しないやつ」


壮真とそんなやり取りをしながら、自転車の去った方を見つめる。

この夜が俺…たちと彼女の出会いだった。


・・・


彼女との出会いから数日経ったある朝、いつものように壮真とランニングをしているとまた土手の方からHeads or Tailsが聞こえてきた。

壮真と顔を見合わせて、頷く。
俺たちの足は河川敷の方へ向かっていた。


「榛葉さーん」


壮真の声に彼女がこちらを振り返る。


「内山くん!長岡くん!」
「この間ぶりです」


壮真がそう言ってペコっとお辞儀する。


「え、君たち夜だけじゃなくて朝も走ってるの?真面目だね〜」
「や、この間たまたま夜だっただけで基本は朝かな」
「あの日は秀樹さんが寝坊するから」
「ばっ、壮真余計なこと言うなよ!」


俺たちのやり取りを見ながら、くすくすっと彼女が笑う。



「仲良しだね、いつも一緒に走ってるの?」
「基本は」
「へ〜内山くんが一個下なんだっけ、大学の先輩後輩みたいな感じなのかな」
「多分…笑榛葉さんも仲良しの先輩とか後輩とかいないんですか?」
「Aでいいよ。名前。そうだなぁ…先輩は卒業しちゃったけど、後輩はサークルの子とかと仲いいよ!」

壮真の質問にそう笑顔で彼女が答える。
初めて会った時も思ったけど、よく笑う子だなと思う。
 
 
「はし、Aはこの間からずっとHeads or Tails練習してるよな。どこかでやるの?」
「長岡くん!よくぞ聞いてくれました!実は今度学祭があってね〜そこで披露するんだけど、卒論にかまけて全然振り入れしてなくてさ…後輩にお尻叩かれながら今懸命に振り入れしてるとこ笑」


そう言いながら、彼女は少し参ったように両手を頭に当てた。


「あの、その学祭って俺たちも見に行っていいんですか?」
「は壮真!?」
「え、いいよ〜!!てか大歓迎!!!EXILE好きって言ってたもんね!おいでおいで!!」
「秀樹さんも行きますよね?」


壮真とAがこちらを見てくる。
とても断れる雰囲気ではなかった。
 
 
 
 
 

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作者名:星見杏世 | 作成日時:2023年10月8日 3時

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