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「わりぃ、さっきはちょっとやりすぎた」
「いいよ別に、もう忘れました!何も無かった!それでいいでしょ?」
「は?」
「ほら、壮真帰って来ちゃうから秀樹も普通にして!変な詮索されちゃうでしょ!」


謝るつもりでいたのにあの時間をなかったことにされたのと、また壮真が引き合いに出されたことに引っ掛かりを覚える。


「待って」


トン、と廊下の壁に肩をつき、そのまま行こうとした麗華の動線を塞ぐ。


「な、なに」
「麗華って壮真のこと好きなの?」
「いやだから、壮真とどうこうなろうなんて思ってないってば…弟みたいに思ってるって意味では好きだけどね?」


目線を俺から逸らしてそう言う彼女を見つめる。
てか、と彼女が再び口を開いた。


「秀樹に関係なくない?」
「ある」
「どこが…」
「好き」


短く告げると、キョトンとする彼女と目が合った。
なぜ、そこでキョトンとされるのか分からず俺が戸惑う。


「好きって、え、誰が誰を」
「いや、俺がお前を」


自覚したのはいまさっきだけどなと内心で付け足す。


「秀樹が、私を好き…?」
「そう。麗華が好き。俺と付き合って」


彼女の瞳を見つめたままそう真っ直ぐに告げる。
俺は彼女の言葉を待った。


「う〜〜〜〜〜〜んごめん!」
「え」


さっきの雰囲気があったので予想外の返事に思わず唖然とする。


「私じゃ秀樹のことは幸せにできない…秀樹を幸せにできるのは壮真しかいないと思うの…」
「いや、え、は?」
「うんだからごめん。私はそまひでを超えるカップルになれる気がしないから身を引きます」


彼女が何を言っているか分からず呆然とする。
俺、フラれた…?



ガチャ


「ただいまー…って廊下でふたりして何してるんですか?」


そこにちょうど幸か不幸か壮真が帰ってくる。


「おかえり!」
「壮真ぁ……」
「ど、どうしたんですか秀樹さん」


思わず壮真に泣きつくと珍しく壮真がキョドる。


「俺、フラれた…」
「え…!?」


俺の一言にバッと壮真が彼女の方を見る。


「いや、だって、私、そまひでが好きなんだもん、付き合ったらそまひで見れなくなりそうで」
「いや、え、秀樹さんが告白したんですか?麗華さんに?」
「そうだよ、フラれたけどな…!」


そう言うと、壮真がは〜〜〜〜〜〜、と大きなため息をつく。
 
 
 
 
 

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作者名:星見杏世 | 作成日時:2023年10月8日 3時

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